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課長挨拶

 

総務部国際課長
五十嵐一美

 

6月25日に国際課長に着任しました。前職は国際観光振興会のサンフランシスコ事務所長で、アメリカに3年間駐在していました。主な仕事はアメリカ人に対する日本の情報の提供や、日本への国際会議の誘致などでした。運輸省に入って約20年ですが、15年ほど前に航空局の国際課(当時)で、日米航空交渉を担当したこともあります。従って、“国際”という名の付く仕事は今度が3度目ですが、それぞれに大きく性格が違っています。
海上保安庁の“国際”業務は、領海警備や捜索・救難など、国家主権や人命に関わり、時に近隣国との緊張関係も伴うなど大変重要で厳しい仕事だと思います。日本は地理的には小さな国で、人種的均一性も高く、アメリカ人などには、“Nothing changes in your country.”などと批判されて、いかにも均一で保守的な国民だと思われているようです。外から見れば確かにその通りに見えますが、実は国民の政治観はいわゆる右から左へと多岐に分かれ、経済的利害や人生観の相違も、実はアメリカ人などよりよほど大きな国民だと私は思います。
また、今年7月の海洋法関係法令の施行により、我が国は新しい海洋秩序の時代に突入しました。比喩的に言うと国と国との間に存在していた公海というクッションがなくなり、EEZ限界線や大陸棚境界線という国境線で、直接国と国が接する時代になったということです。しかも、全地球的な人口増による漁業資源の希少化やアジアの新興工業国の台頭に伴う海底鉱業資源の重要性の増大など、我が国と近隣諸国との摩擦の種は、増えることはあっても減ることはないように思われます。
このような状況下で、何が長期的に見て国民の利益になるのかを見極め、国民的合意を形成しながら諸情勢に対応していくのは容易なことではありません。固定観念にとらわれることなく、違う視点の意見も十分に聞いて虚心坦懐事に当たりたいと考えています。

 

 

 

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