日本財団 図書館


照の復帰コロニー数で割った数値を表8に示す。各試験菌株のSgmixの有無ごとの被験液濃度と復帰コロニー数の関係を図1〜図5(1回目本試験結果を含む)に示す。

TA100,TA1535,WP2uvrA,TA98およびTA1537菌株の直接法、代謝活性化法とも、いずれの被験液濃度でも陰性対照に対する復帰コロニー数の比は1.5倍以下であった。

5. 本試験の判定と考察

5.1 判定

 本試姦条件下においては、本被験物質は、陰性と判定した。判定理由は下記による、1回目本試験の結果TA1537菌株の代謝活性化法では、被験液濃度0.156mg/プレートで復帰コロニー数が陰性対照の1.5倍に増加したが用量一反応関係は認められず、また、2回目本試験では同一試験条件で増加が確認されなかったことから偶発的なものと考えられた。

 一方、陽性対照では、それぞれの菌株に対して陰性対照の2倍以上の復帰コロニー数を示した。さらに、無菌試験の結果、プレート上に試験菌株以外の雑菌が混入していないことを確認したので、本試験は適切に実施されたと判断した。

5.2 考察

 本被験物質は、精製水への溶解性が良く、5mlプレートの高濃度被験液においても、菌懸濁液、S9mix、および軟寒天を混合した際に、結晶化や懸濁化等は観察されなかった。従って、試験菌株への被験液の暴露は適切に行われているものと判断された、菊池らは2)、TA1535およびTA1537菌森は、陰性対照の復帰コロニー数の数が少なく、しかも変動範囲に幅のある菌株であり、復帰コロニー数が3倍以上に増加した場合に陽性とする判定基準を採用している試験機関もあることを報告している。従って、1回目本試験で1.5倍以上を示した試験条件では用量一反応関係や再現性もみられなかったので偶発的に復帰コロニー数が増加した可能性があるものと考える。本試験では、被験物質の濃度をGLP基準で規定されている5mlプレートを最高濃度として実施したが、いずれの試験条件においても、各菌株に対する生育阻害は観察されなかったので本試験条件下では本被験物質は菌株に対する毒性がないものと思われる。

6. 参考文献

1)安衛法における変異原性試験−テストガイドラインとGLP−労働省安全衛生部化学物質調査課編、1991.3.25.

2)菊池康基、三宅幸雄、変異原性試験Q&A、厚生省医薬品毒性試験法ガイドラインに

 

 

 

  前ページ  目次へ  次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION