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三. ありがとう『赤ちゃん』
あづま里親会 幕田由美子
『お〜い』いつもより明るい感じの夫の声に、「何か嬉しいことでも?」と、振り返ると丸く浅黒い顔にいっぱいの笑顔を浮かべて『うちに赤ちゃんが来るかも。』私には何の事か理解出来ず「どうしたの」と、聞き直すと、受話機を左手に持ったまま『たった今、児童相談所の先生から、生後まもない赤ちゃんの委託の件だったんだよ。』と、興奮している夫。
私自身も、そのお話に飛び跳ねんばかりに喜んで、「いつ。いつ。どこに!」『うん。病院らしい。生後一週間目の赤ちゃんでまだ名前も付いてないらしい。』夫はまだ興奮した声でした。落着いて良く話しの内容を聞くと、事情が有り母親が育てられないので、児相の先生方が里親を探していたのでした。勿論、私達は二ッ返事で御受けする事になったのです。
翌日、庭の福寿草が咲き誇っていた暖かい春の日の午後でした。早速、退院用のべ

 

 

 

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