日本財団 図書館


 

3. 里親制度の発展を期待して

木藤茂男
児童相談所を離れてから十一年たち、三十有余年つとめた児童相談所の経験を通して、里親会の発展ひいては里親制度の発展のために種々考えてみたい。
これまで里親になってくださった方々へその動機をたずねると「実子がいなくて寂しかったから」という話をよく聞いたが、世の中には実子がいなくとも、里親になる人は必ずしも多くない現実をみると、結婚と子どもが、人生の最大の福祉だった時代は去り、里親は「養子にしたい」里親を含めてほとんど「子どもの幸せを考えて」「子どもが好き」で里親になったと思っている。だから知り合いの里親さんに、このたび電話をかけ子育ての感想を聞いたところ「苦労の連続だったが、子どもの成長が嬉しかった」「つばさを休める場所として養育にあたったが、母親役は楽しかった」「子育てには心配がつきものだが、大人だけでは味わいえない豊かなものを味わった」などとのなつかしい声が返ってきた。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION