が、この1年4ヵ月の間に、ものすごく進歩したものもある。家では、アニメの絵本を読み聞かせたり、読ませたりしている。「本読み」というと、プーとふくれた顔をし、拒絶反応を示す。「N子の心をなおすには、本を読むしかないのだよ」と、半ば、強制的に、読ませている。「赤いくつ」「ピノキオ」「フランダースの犬」「マッチ売りの少女」等々。一部暗記している。少しでも、彼女の心の隅に、名作を残したい。砂漠にたらす一滴の水にすぎないが、砂漠にだって、オアシスはある。いつの日か、オアシスにたどりつける日を願いながら、きょうも、N子とつきあっている。
平成8年7月記
四. 出会い
東総支部 白鳥玲子
「いつか身寄りのない子を引き取って育ててみたいね」
まだ独身の時、私達はよく話し合ったものでした。養護施設で保母として働いたこ
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