三. 里子と握手
木造町 長内ムイ子
里親になり早いもので五年が過ぎ、文君にとって二度目の感動の握手が訪れたのです。
それは一年前の夏のことでした。保育園に迎えに行ったときです。「ふみちゃんのお母さん」と主任先生が呼んでいました。「ドキッ」とした。何か悪さをしたかと不安な気持ちで先生に逢いに行くと、最初に出た言葉が「ありがとうございます」と深く頭を下げられました。私は何のことかと分からず戸惑いました。それは、夕涼会の時に「島原の雲仙普賢岳」の噴火による被災者達の様子と、困っている人のために義援金をと園長先生が話したそうです。この日から、文君はおやつ代を使わないで、紙の義援金箱に献金していたということです。その日の帰り道、文君は小さい自分の手を差しのべ、何度も何度も「お母さん聞いてよ。今日、園長先生が僕の手をとり、ふみちゃんありがとう、と何度も握手をしたよ。」と言いました。この義援金のことが、保育
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