の地方公共団体として組織し、基本的に地方自治法を適用する、という4種の方法が基本的に考えられる。本稿の課題は、主として憲法上の観点から首都地域の行政組織の可能性ないし許容性について検討することにあるので、憲法問題の生じない上記(4)は除外することとし、検討の中心を国の直轄地とする上記0の可否に置くとともに、適宜、(2)ないし(3)に論及することにする。なお、(2)と(3)は、地方公共団体以外の国の管轄する組織とするか、特殊の地方公共団体とするかで大きな違いがあるようにみえるが、その組織運営・権限等を実質的に考えると、両者の実際の相違はあまり大きくないことに注意する必要がある。
以上を前提に検討を進めるとして、具体的な論点としては、(1)憲法上の地方自治制度の基本的あり方(とくに憲法92条)が首都地域の特別の行政組織を許容しているか、(2)憲法にいう地方公共団体の意義との関係、とくに都道府県・市町村の二層制を憲法が要求しているかどうかという問題との関係で、首都地域に特別の行政組織を創設することは可能か、(3)憲法93条1項の議会の設置、2項の住民による長・議員等の選挙の規定との関係で、首都地域の特別組織は認められるか、(4)憲法94条の条例制定権との関係で、首都地域の行政組織ないし住民に規範定立権を否認することができるか、(5)憲法95条の地方自治特別法に対する住民投票の規定は、首都地域の行政組織の創設に対してどのような規範力をもつか、という諸点が問題となる。
2 憲法の前提する地方自治制度との関係
(1)地方自治制度に関する憲法上の原則
日本国憲法第8章の「地方自治」の保障は、いうまでもなく明治憲法にはなく、日本国憲法において初めて採り入れらたものである。それは、明治憲法下での官治行政の反省に立ち、「中央集権的官僚行政を排斥し、地方分権的民主行政を確立しようとする意図を示したもの」(1)である。
憲法92条の「地方自治の本旨」の法的意義については、周知のようにさまざまな議論があるが、ここではさしあたり通説の説くように、それが住民自治と団体自治とを含むものと理解して議論を進めることにする。しかし、どのような議論によるにせよ、地方公共団体の組織および運営を定める法律は、地方自治の本旨に基づくもので