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くったりするのですけれども、ここで重要なのは、町は町の持っている土地、不動産についてお金をかけてください、個人は個人で、企業は企業で、それぞれが自分のお金でやります。ただし、設計はやはり…、設計とも言えないですね、ゾーニングとか、この建物は買って使ったらとか、そういうコーディネートは1人の建築家に任せませんかということなのです。

公共事業だけではなく近隣の個人や企業も含めて再配置を考えないと、全体がうまく行かない、という条件から出発したことがわかる。そして4者は自己資金の持ち出しで参加しており、補助金を受けてはいない。再配置によって(一帯の価値が上がることを含め)各々にどのようなメリットがあるか(別紙経過を参照)を、それぞれが十分計算の上で参加したとのことである。また家を建てたり施設をつくる主体は、決して建築や都市計画の専門家ではない。そこで専門家の知恵を借りていこうということが述べられている。そこで求められているものは、各自の算盤が合う範囲で、お互いの配置を変えることにより全体の価値が上がるようなアレンジメントである。

(市村)最初の半年ぐらい、町はとまどっていました。ある意味では、町はプライドを傷つけられたところがあるのです。普通、市が計画すると、自分でプランニングして、ついては、周辺の皆さん御協力くださいというやり方ですから。私たちはそれを重々承知でプレゼンテーションしたのですけれども…ではそこでなぜ町が乗ったか。私は理由が二つあると思うのです。一つは、補助金や補償費がいらない。町は取得した自分の土地、建物には費用がかかるが、ほかはそれぞれ皆さんのお金でということですから、お金がかからない。これが第一です。二つ目の理由は、むしろこちらが大きいかもしれませんが、普通、思い切ったことというのは、行政はやりにくい。やればクレームがつくのです。しかし町だって本当は金太郎飴でいいとは思ってないわけです。でも現実には様々なクレームがあってやれない。そこへもってきてこの事業は5者が共同で、いわば個人も含めて発言権が5分の1ずつという計画なのです。町も発言権が5分の1であって、たとえ計画がかなり意欲的なもので多少のクレームがあっても、

 

 

 

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