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日本の海運とエネルギー輸送
大阪商船三井船舶株式会社営業調査室室長篠田匡史
資源を外国に依存する日本
最近になってよく堺屋太一著「油断」のストーリーを思い出す。日本に油が入ってこなくなったら日本人の生活は成り立たない。きっと治安も最悪の状態になろう。日本の足元を見て外国が日本に難題をふっかけてくるかも知れない。
島国の日本は資源を持ち合わせず、その大部分を諸外国のエネルギー資源、原材料に依存している。つまり日本人の生沽(衣食住)を支えているのは石油、石炭、天然ガス等の外国のエネルギー資源であるし、鉄鉱石、原料炭、大豆、小麦、綿化、羊毛等の外国の原材料である。これら代物の輸入依存度はほぼ一○○%、つまり全量に近く外国に依存している。従って石油の輸入だけでなくその他の輸入が細ってきたり、途絶してもその影響は同じことである。
日本の石油輸入はこれだけ……
さて石油の輸入依存度は九九・七%、うち原油の輸入量は全石油輸入の九○%近く(残りは石油製品)あるが、年間の輸入量は東京ドームの二〇〇杯分に相当する。この輸入量を世界の海上荷動きと比較すると、トンマイルベースで一七・四%である。輸入数量で見ると日本の原油輸入量はアメリカについで第二位であるが、日本の輸入ソースの中東依存度が八○%弱とアメリカのそれの二○%とは比較にならない程大きいことから、トンマイルベースでは世界一と思われる。アジア産も含めると中東/アジア依存度は九七%に跳ね上がり、特に中東からの原油の大半はVLCCに積まれて日本に輸送される。アラビア湾と日本の距離はおよそ六六○○から六七○○マイルて地球一周の約四分の一、年間にVLCCおよそ八○○隻がこの航路で原油を運ぶ。日水の生命線とも言えるこの航路の配船は、九○%弱が日本船社によるものである。
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