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しっぴんぐ論壇

 

日本船籍、日本船員の具体策に取り組む海造審

海運造船合理化審議会委員 日本経済新聞社友 栗原宣彦

 

日本の外航海運は、いま日本籍船と日本人船員が年を追って減少、かつての中東危機の時のように、安定的な物資輸送に支障がでる恐れもある。そこで、海運船合理化審議会や運輸政策審議会などの委員である日本経済新聞社友の栗原宣彦流通科学大学教援に国際舶舶制度などの対応策第について執筆していただいた。

 

「海の日」祝日化したが海国日本は存亡の秋
アトランタオリンピックの開会式のあった七月二十日、東京の帝国ホテルでは国民の祝日「海の日」を祝う実行委員会(会長=稲葉興作日本商工会議所会頭)主催の「海の日」制定記念式典が“盛大”に開かれた。
こういう催しは盛大にという枕言葉がつくのが普通だが、この会は本当に盛大だった。
出席者が超豪華だった。皇太子ご夫妻、首相、衆参両院議長、最高裁長官、東京都知事を始め、衆参両院の議員も多かった。祝日化推進組織の未端役員として出席していた筆者にとってもうれしい日で、本当によかったという気持ちでいっぱいだった。
祝日化の意味は、生命をはぐくんだ母であり、"海の道"であり、海の幸の提供者であり、レジャーや憩いの場であり、地球環境の保護者でもある「海の恩恵に感謝し、海を守る活動を促進する」という稲葉会長の挨拶につきる。この意味を広く国民が支持した結果が、他の祝日の候補日がたくさんあるなかで選ばれ、祝日化されたのである。
これと次に述べることは矛盾するいい方になると思うが、祝日化が図られたにもかかわらず海で成り立つ多くの海事産業は国民の理解が欠けているためなのか、存亡の危機に立たされている。
例えばかつて世界一だった水産業は、日本の海が狭められ、海が汚れ、輸入増の魚価安で水産業者は次々と撤退に退い込まれている。ここのところの円安で息をついたとはいえ、造船業も韓国や東欧の追い上げで苦しい。
一方、港湾はアジアの中心的役割を失いつつある。平成六年のコンテナ取扱量で神戸は世界六位、横浜は十位である。香港、シンガポールはおろか、高雄や釜山より地位は下になってしまった。港湾費用の高さや日曜荷役の中止(平成七年六月から再開)などで貨物が日本の港から逃げているのだ。

 

外航海運"真空化"の危機
最も深刻なのは外航海運である。アジア海

 

 

 

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