
しっぴんぐ論壇
不定期船部門における日本海運と三国間輸送
ナビックスライン株式会社 常務取締役 田村 茂
日本海運は日本と海外間ばかりでなく、海外の各地間を結ぶ貨物輸送(三国間輸送)でも活躍している。しかし、一般国民にとってその実態はなかなかわかりにくい。そこで、三国間輸送の実務に詳しいナビックスライン株式会社の田村茂常務取締役に「不定期船部門における日本海運の三国間輸送」と題してご寄稿いただいた。
世界の海上荷動き
一九九四年ベースの世界の海上荷動き量は、年間四十五億トン以上に達し、そのうちの一八・五%に相当する八・三億トンが日本の海上荷動きとなっている。
その中で、不定期船で輸送されている、いわゆる乾貨物(ドライカーゴ)は、世界で二十七億トン、うち日本が五・六億トンで二〇%を占めている。すなわち、ドライカーゴの分野で、日本海運から見た三国間荷動きは、二十一億トン以上に達しており、またこれらの世界荷動きも、年率にして三〜四%の成長をしており、世界的に見れば海運は依然成長産業であると言われるゆえんである。
成熟した先進諸国においては、今後急速なる荷動き増は期待出来ないものの、アジアを中心とした発展途上地域では、まさに新しい一大海運市場が形成されつつあり、日本海運はもちろんのこと、世界の海運界が熱い眼差しをそそいでいるのが現状である。
日本海運の活動
我が国の商船隊(日本籍船と日本海運企業による外国用船を含めたもの)の輸送量は、一九九四年実績では、輸出が前年比四・二%憎の四、○五○万トン、輸入が同一・四%増の五億一、三四〇万トン、三国間輸送では同五・三%減の一億一、五三〇万トンで、合計輸送量
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