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ルーズが続いていますが、最近の日本のクルーズの特徴はいかがですか。
宮岡 今度「飛鳥」で世界一周されるお客様の平均年齢は六七・五歳で、その四分の一は、外国も船も初めてという方です。そういう方にとって、このクルーズは非常に便利です。船内では日本語が通じるし、日本食もあり、また、寄港地では手ぶらで上陸できる。それで世界の上な所をまわっていくわけ、ですから。また、横浜を出て、豪州・ニュージーランドを一周して横浜に帰ってくるクルーズは、百万円で三五日も楽しめるので、お客さんも定着しました。今後はこうした長期クルーズを一つの目玉にしたいので、そのためにも今度の第一同世界一周クルーズを成功させたいですね。

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上田 その対極にあるショートクルーズは一〜二泊で、若い方でもお手軽に空いた時間に行けると思いますが、最近はどうですか。
宮岡 船客は増えていますね。僕も三回ほどワンナイントを経験しています。八丈島の方をまわって帰ってきましたが、火気が良くて往き帰りに富士山がとても綺麗に見えます。非常によかったですよ。ただ、短いものはお客さんがすぐ入れ替わるので、船からすれば、できれば同じお客さんに長く乗ってほしい、という気持ちが強いのですが……。

 

海外のクルーズと比較して
上田 日本でクルーズ客船というと、残念ながら、タキシードがないと乗れないとか、敷居の高い堅苦しい乗り物というイメージが先行してしまっていると思いますが、これからクルーズを楽しみたい方にはどんなアドバイスをなさいますか。
宮岡 それは宣伝もいけないと思います。やたら豪華というでしょう。ナンセンスなんです。今はパブリックサービスが同じで、昼から夜中まで催しものがあり、部屋は寝に帰るだけですから普通の方には、大きく豪華な部屋はいらないんです。
上田 豪華が先走っているということですね。
宮岡 日本では、いろいろな服を着るチャンスが少ないから、女性は絶好のチャンスとばかり張り切るし、こちらもたまには服をパシッと決めても悪くない。今度の世界一周はフォーマルの夜は九六日中八回と少ないんですよ。無くすわけにもいかないんです。好きな人もいるし、特に女性は無いと寂しいんじゃないですか。
上田 客船では毎日ああいうものを着ていると誤解している方がいらっしゃるんです。
宮岡 アメリカ人はオープンだから、昼間はすごい格好をしていますよね。
上田 Tシャツとショートパンツですよね。ところで、海外では巨大客船が続々と誕生し、今秋には史上初の十万総トンが登場します。日本では巨大客船の計画はないんですか。
宮岡 駄目でしょうね。あれはカリブ海を前提にしてますから。アメリカは四八〇万人の大マーケットで、その八割近くはカリブ海です。カリブ海は気候が穏やかで海も静か、島もいっぱいあり、みんな植民地だった関係で、かなり違う特色がある。そういうところを三泊四日ぐらいでまわるのが多いんです。
それにそんなに大きいとパナマ運河などを通れません。
上田 その点、日本のクルーズは、例えば東北三大祭り巡りのように季節感を大事にしたものとか、テーマのある学習クルーズとか、

 

 

 

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