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【潮風対談】

クルーズの楽しみと課題

クルーズの楽しみと課題

(社)日本外航客船協会会長 宮岡公夫
クルーズライダー 上田寿美子

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平成元年、日本で本格的なクルーズ客船事業がスタートしてから、八年を経たが、この間クルーズ人口は着実に増え続け、年間一一〇万人を超えるようになった。去る三月一日には日本郵船の『飛鳥』が九六日間の世界一周クルーズに出航、日本も本格的なロングクルーズ時代に踏み出した。そこで、日本外航客船協会の宮岡公夫会長とクルーズライダーの上田寿美子さんに「クルーズの楽しみと課題」について対談していただいた。

 

世界一周からワンナイトまで
官岡 上川さんはいろいろクルーズ客船に乗っておられるようですが、初めて乗ったのはいつ頃ですか。
上田 一九七二年で、「ロッテルダム」という今でも現役の客船です。
宮岡 僕は、伯父が郵船の船で外国に行った時に初めて船内を見た程度ですから、客船については新米なんですよ。
上田 とんでもございません。ところで、クルーズ客船が日本に続々と登場した平成元年から足掛け八年になります。日本のクルーズを推進してこられて、ご感想はいかがですか。
宮岡 期待したほどは伸びていません。去年はむしろ減ったでしょう。ハ我の低迷や阪神・淡路大震災などが影響しました。
元々、日本のクルーズの四割は企業の研修向けなどで、景気が悪くなると途端に影響がでます。その点、一番マーケットの大きいアメリカやヨーロッパは個人ベースです。日本でも徐々に個人にも浸透してきましたが…。
乗客に一番効き目があるのは口コミで、次は、旅行代理店です。日本の代理店は、これまで飛行機旅行でやってきたので、船のほうはあまりご存じない。一方、アメリカでは約三万の代理店のうち七千店がクルーズを扱い、専門店は七、八百店もあります。簡単に旅行代理店を開業できるので、余裕さえあれば誰でもやれます。コミッションが高いので、客を三人集めれば、自分はただで乗れるので、みんな張り切ってしまうんです。
上田 私も外国のクルーズ船に乗るとクルーズ代理店の方によく遭います。
宮岡 日本でも代理店の方が船旅をもっとよく知り、経験豊富になって欲しいですね。それが進まないと、なかなか客の裾野が広がっていきません。船室が空いた時は少しでも代理店の方を招待して、船の良さを知っていただくこと大事です。
上田 代理店はお客様との大事な窓日ですから、一般とはちょっと違った情報を流されてもいいですね。ところで、昨年は「飛鳥」が三五日間の豪州・ニュージーランド、「にっぽん丸」が六五日間のカリブ・アラスカ、今年は「飛鳥」の九六日間の世界一周と壮大なク

 

 

 

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