日本財団 図書館


これらの変化に十分配慮して防災対策を推進することとしている。
内容については、阪神・淡路大震災以降、特に話題となった事柄を中心として、7つのポイントに整理している。
(1)航空機など多様た手段を活用した被害規模等の迅速な情報収集
(2)広域的な応援体制、都道府県と自衛隊の連携強化、災害対策本部の現地対策本部の設置等による災害応急体制の整備
(3)臨時ヘリポートの候補地の指定等による緊急輸送の確保
(4)備蓄、調達体制の整備と適切な供給の確保
(5)避難場所の生活環境の整備と応急仮設住宅の迅速な提供
(6)海外からの支援の受入れとボランティアの環境整備
(7)災害弱者に対する防災知識の普及、情報提供、避難誘導等の様々た面での配慮
この防災基本計画に基づき、指定行政機関(関係省庁)及び指定公共機関(日本電信電話株式会社、日本赤十字社等)は防災業務計画を、地方公共団体は、地域防災計画をそれぞれ修正している。
また、この改訂は自然災害について行われたものであるが、事故災害対策についても、今後、防災基本計画に追加することも触れている。
3 災害発生時の即応体制の整備
阪神・淡路大震災のような大規模な地震が発生した時には、災害の初期の段階において迅速な災害対策を講ずるため、被害の全体的な規模や程度を早期に把握したうえで、即応体制を構築することが必要である。
特に、阪神・淡路大震災の場合には、初動期において、被害規模の把握が遅れたこと、官邸への情報連絡体制が十分でなかったことなど反省すべき点は、迅速た改善が行われた。
国土庁においては、
(1)ポケットベルと電話による一斉情報連絡装置により、地震発生後速やかに官邸の関係者及び関係省庁の職員等へ地震情報を連絡する。
(2)職員の宿日直体制を組み、二人体制で24時間情報連絡に当たる。
(3)被害の程度や規模を早期に把握するために必要な情報を、関係省庁や電力会社、ガス会社だとの関係機関から入手できる情報収集体制の充実を図る。
などの対策が講じられたほか、地震防災情報システム(DIS)や中央防災無線網の整備にも取り組まれてきた。
このうち、地震防災情報システム(DIS)の整備については、阪神・淡路大震災において、災害情報の第一次収集にあたる地方公共団体の庁舎も被災したこともあり、発災時における政府の応急対策活動を立ち上げるために極めて重要な被害状況の早期把握が遅れたことから、地震発生直後の被害早期評価・推定、被害状況の把握と効率的な復旧復興対策等に資するツステムを緊急に整備していくこととなったものである。
平成7年度第1次補正予算以降、国土庁において、事前対策、発災後対応、復旧後輿支援の円滑な実施に必要なシステムの整備に取り組んできており、特に地震被害の早期評価については、国の初動対応の迅速化に資するものと考えられる。具体的には、地盤状況、人口、インフラ施設の状況、建築物、防災施設、復旧関連情報等の数値地図データを整備し、それを活用して、事前対策、発災後対応、復旧・復興支援のためのシステムの確立を図ることとしている(図1)。
次に、発災時に必要な防災情報の収集・伝達のための通信手段を確保することは、極めて重要であり、阪神・淡路大震災においては、災害現地の被害状況の把握の遅れにより、災害対策の迅速な対応及び政府の危機管理体制等が問題点として指摘された。
そこで、国土庁においては、昭和53年度より整備を進めてきている中央防災無線網について、次の点において充実を図ってきている。
(1)全都道府県と防災関係機関(官邸を含む。)との間の情報連絡手段の整備
(2)首都圏外の指定公共機関への衛星系による回線整備
(3)防衛庁、警察庁及び消防庁が収集した災害現地の画像による被災情報を国土庁に収集及び関係機関に配信するための回線整備
(4)立川広域防災基地内の防災関係8機関の間を結ぶ地上回線の整備
さらに、発災時における内閣の初動についても、様々な条件整備が行われている。
まず、平成7年2月21日、閣議決定を行い、大規模災害発生時の第一次情報収集体制の強化と内閣総理大臣等への情報連絡体制の整備に関する当面の措置について、以下のように定められた。
(1)被害規模の早期把握のため、関係省庁は、現地の関係者からの情報収集、航空機、船舶等を活用した活動の展開

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION