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1回目の改正は、阪神・淡路大震災の際、災害応急対策を行うに当たり、車両の通行に支障が生じたことから、交通規制関係についてのみ行われた(平成7年6月16日公布、法律第110号)。
その主な内容は、
(1) 都道府県公安委員会による災害時における交通の規制に関する措置の拡充(近隣都道府県における規制、発災直前の規制、区域指定による規制)
(2) 通行禁止等が行われた場合の車両の運転者の義務
(3) 警察官による緊急通行車両の通行の確保のための措置(車両その他の物件の移動等の措置命令、強制措置)
(4) 国家公安委員会の関係都道府県公安委員会に対する通行禁止等に関する指示権
(5) 警察官が強制措置として車両その他の物件を破損した際の損失補償
等である。
2回目の改正は、平成7年4月〜9月の間開催された防災問題懇談会(内閣総理大臣が主催)の提言を受け、政府の体制等について行われ、国会において内閣提出案を一部修正のうえ成立した(平成7年12月8日公布、法律第132号)。
その主な内容は、
(1) 災害緊急事態の布告がなくても、著しく異常かつ激甚な非常災害の場合には、内閣総理大臣を本部長とする緊急災害対策本部を設置できることとし、本部員は、全閣僚及び閣僚以外の指定行政機関の長のうちから内閣総理大臣が任命する者とする。
(2) 緊急災害対策本部長が指示を行うことができる対象に、指定行政機関の長等を追加する。
(3) 非常災害対策本部及び緊急災害対策本部に、現地対策本部を置く。
(4) 災害派遣を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官の権限を記述。
(5) 市町村長は、都道府県知事に対し、自衛隊の災害派遣の要請をするよう求めることを可能とし、また、当該要求ができない場合は、その旨及び当該市町村の災害の状況を防衛庁長官等に通知することを可能とする。
(6) 国及び地方公共団体の防災対策に関する事項の実施についての規定の充実。
(7) 地方公共団体の相互応援協定締結に関する努力義務。
等である。
また、地震による災害から国民の生命、身体、財産を保護することを目的とした「地震防災対策特別措置法」が議員立法により成立した(平成7年6月16日公布、法律第111号)。
その主な内容は、
(1) 都道府県知事は、地震により著しい被害が生ずるおそれがあると認められる地区について、地震防災上緊急に整備すべき施設等に関する5箇年間の計画(地震防災緊急事業5箇年計画(以下「計画」という。))を作成することができる。
(2) 計画は、避難地、避難路、消防用施設、地域防災拠点等の整備について定める。
(3) 計画に基づいて実施される事業のうち、消防用施設、社会福祉施設等の整備に要する経費に対して、国は、補助の特例等の措置を講ずる。
(4) 総理府に地震調査研究推進本部を設け、観測、測量、調査及び研究を推進する。
(5) 国は、地震防災に関する科学技術の振興を図るため必要な研究開発を推進する。
等である。
さらに、阪神・淡路大震災に対応するために立法された特別措置等を踏まえ、将来、大規模な災害が発生した場合に備えて一般制度化する立法(特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律)が制定されている(平成8年6月14日公布、法律第85号)が、本白書においては、未だ触れられていない。

 

 

 

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