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上となった。
火災の発生原因としては、早朝から火気を使用する市場関係や商店などでの出火、建物の倒壊による出火、電気設備、器具からの出火などが報告されている。
住家等の建築物が著しい被害を受けたため、膨大な数の避難者が生じ、平成7年1月23日のピーク時には約32万人の被災者が避難所に収容された。このため、あらかじめ指定されていた避難所だけでは、避難者を収容することができず、学校のグランド等でテントを張って避難している避難者も数多く見られた。兵庫県内に開設された避難所の数は、地域防災計画の中で指定を受けている避難所の2倍以上であった。
応急仮設住宅の建設については、その数が過去に例を見ないほど大量であり、かつ被災地が応急仮設住宅の建設に適した空地等の少ない都市部であったため、機材等の調達や用地の確保が困難であった。しかしながら、国、地元自治体、業界団体が一体となって速やかな供給に全力を傾注し、平成7年3月末までに約3万戸、同年4月末までに約4万戸が予定通り完成した。平成7年8月までには、兵庫県が避難者の悉皆調査によって把握した必要戸数48,300戸の応急仮設住宅が完成し、災害救助法による避難所が解消された。個別の事情により、なお避難所に残る世帯については、「待機所」として居住の場を提供し、引き続き応急仮設住宅への入居斡旋等を行っている。
また、上下水道、電気、ガス、電話等のライフライン施設については、各種の機能が著しく損壊し、長期間にわたり市民生活に大きな影響を及ぼすなど、ライフライン施設に依存した都市の災害に対する脆弱さを露呈した。
水道については、神戸市、西宮市、芦屋市などのほぼ全域が断水し、2月末までに当面の仮復旧はほぼ終えたが、一方、仮復旧までに約3ヶ月を要する水道施設もみられるなど、応急給水に依存しなければならない期間もかなり長い期間となった。このため、被災市町村のみによる応急給水では不足し、広域かつ迅速な支援が必要となった。参考3)
電気については、発災の6日後に停電が解消し、ライフライン施設の中では、最も早く復旧した。参考4)
ガスについては、地中埋設部が多いこと、二次災害防止の観点からガスの漏洩は許されないこと等から、水道、電気よりも復旧に時間を要した。参考5)
電話等の電気通信については、交換機等の電気通信設備自体の被害が少なかったのに対し、長時間の停電に伴う障害の影響が大きかったほか、中継系伝送路に比べ、多ルート化、地中化の点から脆弱な加入者回線が大きな被害を受けた。参考6)
応急・復旧活動に必要不可欠な交通路、港湾施設等のインフラ施設についても、高架橋の倒壊、橋桁の落下、岸壁の沈下等の被害が生じ、交通機能が著しく低下した。これにより、救助・救急、焼失、食料・物資等の調達等の活動に影響を与えた。
鉄道については、各所で高架橋等が倒壊・落橋したり、駅舎が崩壊するなど、構造物には甚大な被害が生じたが、発災時刻が早朝であったため、

 

 

 

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