日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 社会 > 成果物情報

自然環境にやさしい地域振興

 事業名 地方自治行政等の調査研究
 団体名 自治研修協会 注目度注目度5


 

ように安全でおいしい農産物の購入を通じた交流は、その農産物が生産される環境のもとに都市の農産物購入者の生活が成り立っていることを認識させるきっかけとなった。また、このような安全でおいしい農産物の購入は、購入者の健康のためであると同時に、その生産方法が環境保全型であるという点に着目すれば、生産地の環境の保全のための対価を支払っているという見方も可能であろう。
他方、地域の里山保全運動等をきっかけとして都市と農村の交流が生まれ、それを通じて地域の自然の維持が図られているケースもある。広島県上下町では、ゴルフ場開発計画が町に持ち上がったことを受け、地元住民が、開発予定地の立木を多くの人に買ってもらい地権者とともに開発の中止を求める立木トラスト運動を全国の賛同者の支援を受けて展開し、里山の自然を守ることに成功した。そして、ゴルフ場に代わる自然と共存できる地域の営みとして、きのこ狩りのできる椎茸園を開設することとし、立木トラスト運動を通じて生まれた地元とトラスト参加者とのネットワークを通じて椎茸のホダ木のオーナを募集した。オーナーには、椎茸及び季節の野菜などを発送するとともに、地元とオーナの交流のためのイベントの開催等を通じて交流が深められ、その関係の中で地域の自然が維持されている。
?B自然と人が共生した地域づくり
高齢化、人口の減少等が進み、自然の維持管理が困難となっている地域においては、むしろその地域の自然環境を地域づくりの基盤に据え、地域づくりのあらゆる側面に環境保全を組み込み、地域の自然環境の適切な保全と活用を図ることにより、自然と人が共生した地域づくりを進めていくことが課題となっている。そのような取組はまだ始まったばかりであり、未だ模索の段階にあるが、ここではそのような取組の事例として熊本県阿蘇のグリーンストック運動及び山形県朝日町の取組を見てみよう。
阿蘇では、先に見たように畜産業の衰退等の中で、伝統的な草原景観の維持が困難になってきている。このような中で、阿蘇の緑と水の生命資産(グリーンストック)を殖やし次の世代に引き継ぐことを理念として、英国のグランドワークトラストをモデルとして地元住民、都市住民、行政、地元企業等のパートナーシップにより財団を設立し、環境保全、農林畜産業の振興、快適な生活空間の整備、グリーンツーリズムの推進を一体的に考えた地域づくりが進められている。草原景観を維持するため、赤牛の自然飼育による生産を継続、育成するとともに、都市の消費者に安全でおいしいものを届ける産直関係を構築して都市住民と農業者との連帯を図っている。このような取組の中で、野焼きへの都市住民の参加を通じた交流も進められている。
一方、山形県朝日町では、フランスのアンリ・リビエール(元国際博物館会議会長)が唱えた「エコミュージアム」という概念に基づき、地域づくりを進めている。リビエールの唱えた概念は、「行政と住民が一体となって、その地における人間と自然の関わりあいの歴史、生活、産業、習慣を写し出すような表現力を持たせるシステムをつくろう」というもので、エコミュージアムは「コア」と呼ばれるその地の歴史、生活、環境を総合的に理解できる中央館と、「サテライト」と呼ばれる衛星館から形成される。衛星館といっても、特別な建物が用意されるわけではなく、実際に生産活動を行っている農家や牧場、工房やその土地の自然を指し、地域の生活、環境を体験して味わう場として位置づけられる。朝日町では、地方の良さをきちんと見極め、都会の幻想にとらわれることなく、自分達の町固有の生活を楽しみ、自分達の町について学びながら、よく理解し、誇りを持って生活していくことを旨として、ゆとりを楽しむ、自然に親しむ、文化づくりを楽しむ等の観点から、例えば自然遺産のサテライトとして、朝日川とその流域の保全、八ツ沼の水辺環境の整備、町民の森の整備等を進めつつある。
これらの事例からも学べるように、自然と人間が共生した地域づくりにおいては、何よりも地元の住民がその地域の自然に深い理解と誇りを持ち、その価値を現代の生活や経済に活かす努力を自ら主体的に行っていることが重要である。その際、必要に応じ、行政や地元企業等がその活動の輪の中に参加し、それぞれの役割分担の下に適切な支援を行うとともに、地域外の人々との交流を通じて地域外の人々が自然と人とが共生した地域づくりに参加できる仕組みをうまく形づくっていくことが地域づくりの成功の鍵を握るように思われる。
(4)環境保全型農業への取組み
農業白書の中で、有機農業に関連し述べているので見てみよう
(「平成6年度農業白書」)
(環境保全型農業への取組)
農業は食料供給構造のなかで、他の産業活動とは異なり、生産行程の基礎を自然の物質循環のなかにおいており、適切な農業活動を通じて環境保全に貢献している。しかし、化学肥料の過度な施用、農薬の不適切な使用や家畜ふん尿の不適切な処理等が環境に悪影響を及ぼす場合も生じており、環境への負荷の軽減に配慮した環境保全型農業を全

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら

日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
3,940位
(34,017成果物中)

成果物アクセス数
1,508

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2022年1月22日

関連する他の成果物

1.地方公共団体における職場研修の推進方策に関する調査研究?分権の時代の職場研修マニュアル?
2.魅力ある農林業の担い手づくり
3.高齢社会における福祉施策の展開
4.大規模災害を想定した危機管理体制の整備
5.行政とボランティアとの連携
6.少子化社会における子育て支援
7.「地方自治行政等の調査研究」の報告書
8.行政業務へのグループウェア導入方策の調査研究
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から