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自然公園は、優れた自然の風景地を保護するとともにその利用の増進を図り、国民の保健や休養等に資することを目的とするものである。最近は自然に親しむことに対する国民の欲求の高まりに対応して、自然公園を訪れる人々は増加傾向にある(第4−7−1図)。自然公園全体の利用者数を見ると昭和50年代は概ね横ばい状態であったが、60年代に入ってから徐々に増加していき、平成6年の利用者数は9億9,987万人で、平成5年より4,423万人(前年比4.6%増)増加となった。年間の利用者数を公園の種類別に見てみると国立公園の利用者数が4億828万人(平成5年3億8,992万人)、国定公園の利用者数が3億821万人(平成5年2億9,607万人)、都道府県立自然公園の利用者数が2億8,338万人(平成5年2億6,965万人)となっている。
平成3年6月に実施された自然の保護と利用に関する世論調査によると、自然の多いところへ出かけた目的としては、「美しい自然の風景を楽しむため」が35.5%、「登山・ハイキングを楽しむため」が30.9%、「温泉に入ってくつろぐため」が28.0%となっており、「自然とふれあう機会を増やしたいと思う」かとの問いに対しては63.1%の人が「増やしたいと思う」(「大いに増やしたいと思う」29.5%)と回答している。
また、平成6年2月の国土の将来像に関する世論調査では、全体の20.5%の人が居住地域で整備・充実が必要だと思う社会施設に「公園・緑地」を挙げており、「生活が便利なところか、自然環境に恵まれたところか」との問いについては全体で41.8%、大都市部では55.9%の人が「現在住んでいるところより自然環境にめぐまれたところ」を選んでおり、自然とのふれあいに対する国民の意識は今後ますます高まっていくことが予想される。

第4−7−1図 自然公園利用者徴の推移

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(2)ふれあいの場
都市などの人工的な環境で生まれ育った人々がほとんどを占める現代社会において、原野や原生林等の自然性の高い地域で、豊かな自然を体験することは人間性を回復するために有効である。また、居住地から地理的にも精神的にも遠く離れた旅先でふれあう山々や海岸などの自然や風景も、人々を日常から切り離し安らぎを与えてくれる。国民がこうした豊かな自然とふれあえる場として、自然公園や温泉地などが挙げられる。
自然公園については、昭和6年に「国立公園法」が制定された後、32年に「自然公園法」が制定され、国立公園・国定公園・都道府県立自然公園からなる体系的な制度が確立された。平成6年度末の自然公園の数と面積は、国立公園28ケ所2,051,190ho、国定公園55ケ所1,332,370ho、都道府県立自然公園301ケ所1,943,046hα、面積を合計すると5,326,606hσとなり、国土面積の14%を占めている。面積の推移を見ると、自然公園法制定後40年代後半までに国立・国定公園の面積は約2倍に増加し、以後横ばいで推移したまま現在に至っている(第4−7−2図)。
(中略)
また、都市化の進展に伴い身近な自然が急速に失われつつある現状への対策として、身近な地域における小動物の生息地や里地の緑あるいは水辺環境などの自然を守り、自然とのふれあい体験を通して自然の仕組を理解できるような場の確保が強く求められている。(略)

 

 

 

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