はしがき
地方分権及び行政改革が国・地方を通じた最大の課題となっている今日、住民に身近な行政課題は、地方公共団体が住民の意思に基づき、地域の実情に即して自主的・自立的に解決していかなければならなくなっている。
このため各地域で日々生起する様々な問題、住民の多様なニーズ、さらには、長期的に対処すべき諸問題に対し、行政はどのように対応するのか、その新しい取組みが探求されるとともに、他の地方公共団体での動き、状況などの情報交換もその重要性を急速に増してきている。
したがって、職員研修用の演習事例も、現代の複雑な社会の中で生起する新しい地域課題や行政課題について、これを具体的な事例の中から捉え、これに対する行政の取組み方の研究、さらに相互の情報交換を行うことが極めて大切になってきている。
このような観点から、平成8年度は、「少子化社会における子育て支援」、「行政とボランティアとの連携」、「魅力ある農林業の担い手づくり」、「大規模災害を想定した危機管理体制の整備」の4課題を選定し、演習用事例としてまとめるとともに、既に開発済みの「自然環境にやさしい地域振興」、「高齢社会における福祉施策の展開」の2事例について更新を行った。
掲載されている事例は、いずれも、演習参加者の創造的な問題発見能力、問題への効果的な対応能力、さらには幅広い見地からの政策立案能力などの養成に役立つことを旨としつつ作成されたものである。また、事例団体における政策形成プロセスを検証するための教材のほか、各自治体の政策提言等の参考事例としても活用できるものである。演習討議の中でディベート、課題解決討議等を採用できるよう検討項目を付け加えているので、これらの討議を行う際の論題及び教材としても活用できるものである。
この教材が、今後地方公共団体の職員研修において広く利用されれば幸いである。
最後に、この調査研究を実施するにあたって、御多忙のところ快く御協力いただいた各位、また、種々御協力をいただいた関係者各位に対し、心からお礼中し上げる次第である。
なお、本調査研究は、日本財団からの研究事業補助金を受けて実施したものであり、ここに深く感謝の意を表する次第である。
平成9年3月
財団法人 自治研修協会
理事長 松島五郎
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