日本財団 図書館


 

(2)高齢期における最大の不安は、病気や介護の問題
(平成8年版厚生白書)
高齢期における最大の不安は、病気や介護の問題である。
高齢者の経済状況が改善されていく中で、国民の高齢期の生活に関する最大の不安は、病気や介護の問題になっている。高齢期における意識を調査すると、「不安を感じることがある」とする者が9割にも達し、不安の内容としては「自分や配偶者の身体が虚弱になり病気がちになること」、「自分や配偶者が寝たきりや痴呆性老人になり介護が必要になったときのこと」がともに5割を占めている。
他方、高齢者の一人暮らしや高齢者のみの世帯は増え続け、三世代同居世帯にあっても女性の就業が進む中で、高齢者が寝たきりや痴呆になった場合にこれを家族だけで介護することは極めて困難になりつつある。さらに、1980年代以降の老親扶養に関する意識の変化は、家族の扶助機能が意識の面でも期待できにくくなりつつあることを示している。

図1−7−16 高齢期の生活に対する不安

005-1.gif

(注)対象は、全国に移住する30歳以上60歳未満の男女 2,277人。
資料:総理府「高齢期の生活イメージに関する世論調査」
(3)高齢化問題の新たな側面(都市部に多い高齢者)−高齢化は過疎地域のみの問題ではなく、都市問題でもある。
(平成7年版厚生白書)
従来の高齢化は過疎化と並行して進んでいたため、都市部における高齢化の問題は意識されにくい面もあったが、「可住地高齢者人口密度」(都道府県の総面積から林野面積・湖沼面積を差し引いた「可住地」の面積1平方キロメートル当たりの高齢者人口を計算したもの。)指標で都道府県別にみると、平成2(1990)年時点で第1位が東京で904人、第2位が大阪で652人と、大都市に高齢者が集中している。最も「可住地高齢者人口密度」が低いのは北海道で31人であり、高齢化率が最も高い島根県は110人であり、29番目と中位に位置する。平成22(2010)年の予想では、この値が東京1,745人、大阪1,412人となり、東京では100メートル四方に約17人の高齢者が暮らす見通しになる。都市部は高齢者が極めて多数である一方で、同居率が低く家庭のケア機能に多くを期待できないこと、エレベーターのない団地など在宅ケアの障害が多いことなどから高齢者介護について有効な施策を講じていくことが大切である。
(4)介護者等の状況
(平成8年版厚生白書)
介護者の5割は高齢者、9割は女性である。
実際に介護をしている者の状況を調べると、約5割は60歳以上の高齢者となっており、高齢者が高齢者を介護するという状況は、すでに現実のものとなっている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION