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お、現在はまだ少数ではあるが、就労条件が整備された森林組合等の林業事業体では、若者が就職する事例もみられる。
また、林業は、賃金水準が、他産業に比べ伸び悩んでいること、社会保険の適用事業所化等の条件整備が進んでいないことなど就労条件の面でも立ち後れがみられる。
必要な林業労働力を将来にわたり安定的に確保していくためには、林業生産基盤等の整備を推進し、林業生産自体の活性化を図ることが基本的に重要である。また、これと並んで事業の効率化、多角化等による林業事業体の経営体質の強化を通じ、就労条件の改善を進めていくことも重要である。具体的には、計画的な事業実行の確保による雇用の長期化・安定化、省力化や労働強度の軽減に資する効率的な機械作業システムの確立、福利厚生施設の整備、社会保険等への加入、月給制の導入、労働時間管理の適正化等の条件整備が必要となっている。
この点に関しては、昭和40年代後半から、都道府県段階で林業就業者の福祉の向上等を目的として基金が設置されてきた。平成5年度以降、新設された地方財政措置を活用して、林業就業者の労働安全衛生の確保、技術・技能の向上、福利厚生の充実等を目的として森林整備の担い手対策のための基金が新たに設置され、又は同様の目的で既存の基金に積み増しが行われている。この結果、現在では、林業就業者に関する基金は全都道府県で設置されている。
このほか、市町村と森林組合等の林業事業体等とが共同して、第3セクターとしての林業事業体を設立し、優秀な若年労働力の確保に取り組む動きがみられる。このような第3セクターでは、通年雇用制の確立、福利厚生の充実等就労条件が整備され、豊かな自然に囲まれた職場・生活の場への志向とあいまって、都市の若者の就職もみられる。収益性の確保等の基本的課題はあるものの、林業の担い手の確保と山村の活性化を図る上からも、その活躍が期待されている。

 

(2)林業就業者の減少と高齢化の推移
(「新たな林業・木材産業政策の基本方向」地球社)

 

林業就業者の減少と高齢化の推移

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資料:総務庁「国書調査」
注:高齢化の指数は、総数に対する50歳以上比率である。

 

 

 

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