(2)管理職者の適切な取り組み 人が育つためには、日常の仕事を通しての指導教育が大切であるが、その中心となるのは職場の管理職者である。個々の職員について能力開発のニーズを最も的確に把握し、それぞれの能力や性格に応じて指導することができるのは、当該職員の上司たる管理職者だからである。また、職員に適切に仕事を割り振ったり、公正な人事管理を行うことによって意欲的に仕事をさせるようにすることができるのも、当該職員の上司たる管理職者だからである。このようなことから、職員の人材育成において実際の鍵を握るのは職場の管理職者であるということができ、職場研修を推進するに当たっては、人材育成のキーパーソンである管理職者の適切な取り組みが不可欠である。 1)意義 本当の「学習」は、一種の条件反射のような形で、学習者が研修を受けていると感じていない時に実は起こっているものであり、これは「意識されない学習」と呼ばれるが、集団規範は「無言の偉大なる教師」であり、「意識されない学習」の重要な要因であるとされる。集団規範は組織の構成員全員が関与して創っているものであるが、トップ層4割、中間層3割、一般層3割位の割合で醸成に関与しており、階層が上になるほど、日常の行動が規範醸成に影響を与えているといわれている。したがって、組織風土や職場の規範を創りだすのは管理職者であり、管理監督者は自分の部下の育成について直接指導することだけでなく、間接的にも大きな責任を有するものである。 また、職場研修は仕事そのものであり、職場で起こるいろいろなことが、まさに生きた教材である。「忙しすぎて職場研修などできない」という管理職者は、「私は仕事をしていない」と言っているのと同じであるといえよう。職員に対する教育・研修能力は、管理職者に求められる能力の中でも極めて重要なものと捉えていかなければならないのである。 さらに、職場研修は上司にとっても能力開発の場であり、管理のスキルを磨く絶好の機会であって、「部下とともに育つ教室」である。 2)着眼点
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