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(2)地方公共団体のこれまでの取り組みと今後の展望
−接遇技術、基礎的能力から政策形成能力まで−

 

職場研修には、1(2)で述べたように、特別な経費を必要としないこと、日常的に職員個人の特性に応じたきめ細かな個別指導が可能であることといったメリットがあるが、これまで地方公共団体においては、新規採用職員又は各職場の業務に精通していない新来者を対象として、電話の応対などの接遇技術をはじめどちらかというと日常の業務遂行におけるごく基本的な執務姿勢や基礎的な事務処理のルール等について、上司や先輩が教育指導し訓練することに主眼が置かれてきたきらいがある。
しかしながら、課題を探り、調べ、考察し、解決する手だてを構想し、実現可能な立案をし、説得と交渉をする、こうした一連の知的活動を要する職務(調査や企画等)を日常業務の中で担当させれば、政策形成能力などの高度な能力についても職場で育成することができるということについても十分認識して取り組むことが必要である。これは、職場における仕事の過程を通じても、工夫次第で政策形成能力など高度な能力を、現場のニーズに即して適切に育成することができるということである。
地方分権の進展に伴って、職員の資質の向上を図ることが極めて重要な課題となっている状況の中、実際に分権を担う職員の人材育成という観点に立った職場研修の意義、必要性を踏まえ、職場の持っているこのような機能にも十分留意して職場研修を実施していくことが重要である。特に、特別の研修に職員を派遣するような人的余裕がないとしている市町村等においては、職場研修の持っているこうした機能に着目し、それを十分活かした取り組みを進めることが重要である。
こうしたことから、本調査研究においては、従来型の新人教育的なOJTの側面についても留意しつつ、今後分権の時代において地方公共団体職員に必須のものとされる政策形成能力など高度な能力について、職場における業務の遂行の過程を通じて組織的、自覚的、計画的に育成していくための職場研修の推進方策について検討することとする。

 

 

 

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