しかし、職場研修も万能ではなく、以下のような問題点もあることが指摘されている。 ・日常業務が中心となるがゆえに、視野の狭い指導になりやすい ・職場の管理職者や指導する人の個人的な偏見に左右されることがある ・指導される側の人が教育訓練のための指導を教育と受け取らない場合がある (単なる注意や小言、叱責と受け取ってしまう) ・指導する人の能力が問題となる ・職場の管理職者に職員の指導・育成が自己の職責であることの意識が欠けると、計画的な教育訓練ができにくい ・指導を受ける職員の間で教育訓練の機会が不均等になる可能性がある。 ・一般的にみて、管理職者は「教育訓練=仕事の管理のほかの余分の仕事である」という意識になりがちであることから、教育不足になりやすい 職場研修は、いうまでもなく、職場の上司や先輩による個別指導であるからその内容が実際的である。経費がかからないことも当然であるし、時や場所を選ばないこともまた当たり前のことである。しかしながら、たとえば個別指導ができるというメリットは、指導する側の人が対象となる職員の仕事振りを十分観察すること、職場の仕事の内容や職務の遂行基準が明確にしてあることといった条件が整っていない限り発揮されないであろう。 したがって、本調査研究においては、地方公共団体の職場に職場研修を導入し、推進するに当たって、前述のようなメリットが最大限発揮されて効果を上げることができること、また、これらの問題点が顕在化しないようにすることに留意して、職場研修の効果的な推進方策の検討を進めることとする。 2 職場研修の位置づけ
職員研修の柱は自己啓発、職場研修(O.J.T)、職場外研修(Off.J.T)の三つであり、これらの活動が相互に連動し、かつ補完されてはじめて職員について組繊的な人材育成・能力開発が可能となることはいうまでもない。しかし、分権の時代にふさわしい組織風土づくりと意識改革を実現するためには現行の研修のあり方そのものを見直すこと
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