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?. 1996年のボホール島における住血吸虫感染状況

安羅岡一男
1995年には流行地住民12,395名中8,779名について検便が実施され、7名(0.08%)の虫卵陽性者が見いだされた。1996年には住民10,217名中、8,175名を検便し、8名(0.10%)の陽性者を検出した(表18)。1994年8月以来、全員コロニーから中間宿主貝は消えた筈なのに、このように依然として少数ながら虫卵陽性者が検出されるのは何故であろうか。これには、(1)陽性者の中にはこれまで検便を受けたことがなく今回あたかも新感染のように見いだされたか、(2)本症が流行する池島で感染し移入してきたか、(3)どこかに未知の貝コロニーがあってそこで感染したか、(4)既知の貝コロニーに貝のrepopulationが起きたのか、などの可能性が考えられる。
これらのうち、大多数は(1)と(2)の事例であるが、(3)および(4)としか考えられない事例もあり、さらに既知の貝コロニーの粘り強い監視と未知の貝コロニーの発見に努める必要性を痛感する。(1)については最近のタスクフォースの協力によってaccomplishment rateがSto. Tomasのように87%にまで高められたのは高く評価されてよいであろう。

 

表18 1996年のボホール島流行地住民のバランガイ別検便成績

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