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D. 酵素抗体法(ELISA)
採血は前腕正中皮静脈の静脈穿刺でSCTの臨床検査技師により行われ、採血後血清を分離し防腐剤としてアジ化ナトリウムを添加して濁協医科大学に搬送し、ELISAを実施した。ELISAは日本住血吸虫の虫卵抗原を用いて、濁協医科大学・医動物学教室の桐木雅史博士により行われた。尚、血清は200倍にHRP(horseradish peroxidase)は7,000倍に希釈した。吸光度(O.D.値)0.2以上を陽性と判定した。
2. 結果
A. 超音波所見別の検便結果
表6に示すように超音波検査を施行した83症例中、Formalin−Detergent法による検便で日本住血吸虫卵を検出したのは18(21.7%)例で見出せなかったのは64(77.1%)例であった。超音波所見(0〜3)別による虫卵検出率には顕著な差異は認められなかった。今回の検査対象者は昨年のELISA検査で陽性者であり、超音波所見上も日本住血吸虫によると思われる変化を認めているにも拘らず虫卵は検出しない例がある事を示した。これらの結果より日本住血吸虫症の肝の繊維化はプラジカンテル治療で完全に回復しないことが推測される。

 

表6 超音波所見別の検便結果

 

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