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練習船を利用した海事従事者育成の試み

On the Education of New-Type Mariner by using Training Ship
中谷俊彦 Toshihiko Nakatani
藤重良二 Yoshiji Fujishige
遠藤真 Makoto Endo
横井幸治 Koji Yokoi
富山商船高等専門学校商船学科
Department of Nautical Science, Toyama National College of Maritime Technology,
1-2, Ebie-Neriya Shinminato, Toyama, Japan
KEYWORDS: seamanship, ship maneuverability, ship handling simulator, MATLAB, autopilot
ABSTRACT
Toyama National College of Maritime Technology has training ship WAKASHIO MARU. Based on new concept, this ship was built in 1995. Training ship is generally regarded as a facility for the purpose of educating ship's navigators and ship's engineers. But in addition to training of ship handling and operation of marine engine, it is important to utilize training ship as facility to cultivate sence of system engineering.
In this paper, the authors report on the trial to educate new-type mariners as maritime system enginners.
1. まえがき
富山商船高等専門学校(以下、本校)は、校内線習船若潮丸(以下、本船)を保有し、学生の乗船実習、実験実習をはじめ教官の船舶及び海洋等に関する研究・調査などに活用されているまた、富山湾をステージとした地域の青少年に対する海洋科学学習等の実践にも使用されるなど本校の重要な存在となっている本船は、1995年9月に竣工した新しい練習船であり、船乗りとしての術科教育を行うためだけでなく、システム工学を実践できる設備が装備されている2.3若潮丸をPhoto-1に示す。

509-1.gif

Photo-1 T.S. WAKASHlO MARU
本報告は、練習船を使った教育が、船舶職員養成のみならず、フィールドに強いシステム技術者育成にも有効であることを述べた、教育に関する報告である。
2. 規律教育
本校は船舶職員の第一種養成施設の認定を受けており、商船学科学生には、校内練習船による乗船実習の履修が卒業要件として義務づけられている。乗船実習は、一泊二日の日程で、各学年について年2回ほど実施される。
乗船実習は、基本的には教室における講義で学んだ内容を実践するものであるが、それ以外にも船内における団体生活をとおして規律を学ぶ役割も負っている。ここでは、練習船という特殊な設備を使うことによって体得される内容について述べる。
2-1. 閉鎖された動揺空間における連帯感
乗船者は、いったん船が出港してしまえば入港まで陸上と隔絶された空間で生活を送ることになる。学生にとっては物理的にも精神的にも逃げ場のない教室となり、悪天候で動揺が発生すれば生理的にも過酷な教室となるしかし、このような条件は、乗組員、教官、学生の区別

 

 

 

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