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風の中を航行する海面効果翼船の性能

Wing-In-Surface-Effect Ship Performance in a Gust
角川 明 南 佳成 塚田 吉昭 不破 健
Akira Kakugawa Yoshinari Minami Yoshiaki Tsukada Takeshi Fuwa
船舶技術研究所
Ship Research Institute
key-words
WIG, Ground-Effect, Wing-In-Surface Effect Ship, flight simulation, performance, gust
ABSTRACT
The Ground-Effect is a lift increase produced by a pressure increase under a wing very near a surface, for example take off/landing of an airplane. A vehicle using Ground-Effect saves energy compared to airplanes at high altitude. The vehicle, called WISES (Wing-In-Surface Effect Ship), WIG or Ekranoplan, has been researched in many countries for the last 20 years, but it is not yet a widely recognized form of trasport. However, it is very important to establish the WISES safety evaluation standards for sea trafic safety.
The Ship Research Institute has been invastigating WISES performance and safety evaluation. A flight simulation is more effective to evaluate WISES performance and safety in many cases. We compered 2 WISES control systems that propose to keep to a route and an attitude at the design point. We confirmed that the control systems carried out its design purpose in a fluctuating gust and with waves, (Beaufort wind class 5). WISE S characteristics are discussed from a view point of the differences with airplanes, for example relating to waves and the sea surface.
1.はじめに
海面効果とは、海面に近いところで揚力が増加する現象である。これは航空機の離着陸時でみられ、真下面の圧力が通常時より増すことによる。海面効果を受けて航行する乗り物は、高空を飛ぶ航空機よりも省エネルギーとなるそのためWIG(Wing-In-Ground-Effect)あるいはエクラノプラン等の名称で約20年以前から各国で研究されており試作機も開発されたが、未だ実用化の気運も高まらず様子を見ている状態にある。国内でも数年前にマリンレジャー用の小型艇が開発されたが、旅客用は計画検討の段階に留まっている。しかし、次世代の超高速船として注目し、その実用化に合わせて安全性の評価基準を確立させておくことは、従来型船舶も共に航行する海上の安全を計るために重要である。
海面効果を利用し高速で航行する船舶を船舶技術研究所では、海面効果真船(WISES:Wing-In-Surface Effect Ship)と称して、性能と安全性に関する基礎的研究を進めて来た1)。WISESの連動特性を把握するためにも、シミュレーションは有効な手段である。船舶技術研究所では、WISESの模型試験2)、概念設計3)、航行シミュレーション4)および主翼流場についての数値計算等を実施すると共に安全評価法の研究5)を行った。その中から典型的なWISESの航行シミュレーション例を紹介し、航空機とは異なるWISESの特徴を考案する。
2.WISESの特徴6)
信念設計した典型的なWISESの主要日をTable1に、外観をFig.1に示す。巡航高度を3mとし、有義波高1.5mの日本近海で航行可能とした。WISESは、空中真の揚力で重量を支持し、制御面により釣合いと安定性を維持するので、基本的に設計要件は航空機と同一であるが、水および波との関係が異なる。海面効果を有効に利用するための真の形状の選定、および安定性の確保が設計のポイントであり、高揚力装置としてはPAR効果方式を利用するのが適当となる設計において航空機より有利な点としては、海面効果により高い揚抗比が期待されるため主翼アスペクト比は小さくとも良く、構造上の自由度が大きい。また超低高度を航行するため上昇燃料が節約され、与圧設備は不要で各種装置も簡略化可能である。航空機より不利な点としては、着水衝撃に耐える構造による重量増加、離着水のための胴体下部形状による有害抵抗

 

 

 

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