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フレキシブルタンクを用いた海上での淡水貯蔵とその展開

Planning for the water storage on the sea by flexible pontoon tank and application
大阪工業大学 情報科学部 津村俊弘
Toshihiro TSUMURA, Professor, Information Science, Osaka Institute of Technology
573-01枚方市北山1-79-1
Tel;81-720-66-5405, Fax;81-720-66-8499
Key Words: Flexible tank, Water-reservoir, Floating tank, Formation control, Desalinization energy.
ABSTRACT
Offshore ultra-large reservoir as a countermeasure against abnormal water shortage and its application to lower-side of pump-up dam, combination of desalinization plant and water reservoir system using pumping mechanization by ocean wave as well as automated and computerized ankor system for reservoir to minimize fluid resistance against stream are proposed and discussed. Experimental flexible water reservoir on sea-water shows simple and economical for water reservation against water shortage for human life.
1. まえがき
周囲を海にかこまれた我が国で、水不足に悩むのは、海に浮かぶ島だけではなく、利根川、木曽川、筑後川など極めて多くの河川とその流域であり、梅雨、台風と長雨の時期を除いて、常に水不足が重大問題となっている。その為の対策としては節水と他の河川・流域からの融通対策であり、社会問題に発展してしまう。
一年を通じてを考えると、雨水が十分確保されているにもかかわらず、依然として水不足に悩まされるのは貯水能力の不足、貯水に関する知恵の不足であり、水不足の地域の住民および産業・企業にとっては緊急・死活問題である。山界に目を転じると、多くの国で、より豊かな生活を享受しようとすれば、まず必要なものは生活および産業用の水であり、一年を通じゆたかな水を得ることが出来る地域は多くなく、季節によって(乾季と雨季など)変動が甚だしい。
ここでは上記の問題点を一気に解決するために、フレキシブルタンクを利用して水を海上にて貯蔵することと、そのタンクの係留、海での潮流による影響をできるだけ少なくする係留法、大型海上貯水槽の揚水発電の下部ダムとしての活用、複数のタンク群が波により相対的に揺動することによるポンプを利用した海水の加圧による海水淡水化設備と分離した淡水の利用にフレキシブルタンクを利用すること、について提案とその検討について述べる。
2. フレキシブル・タンクを利用した河川水の貯蔵
河川に流入する雨水をフレキシブルな袋に貯蔵し、海に浮かベると、海水と真水の比重差により袋は大部分が水中に、一部が海面に出る(Fig.1)。海面に浸かっている部分の袋の面に加わる圧力は海水側と真水側との差は零であるので、きわめて薄くとも良いことになる(破れ無ければよい)。したがって陸上における重力ダムとはコストの面では比較できないほど低価略となる。また修理も簡単、貯水容量を大きくするには袋の数を多くすればよいなど幾多の特徴がある。海水と真水との比重差を利用することは、すでに筆者が提案をおこなっている[1]。Fig.2は小型の試作海中貯水槽である。直径1500,深さ1500のフレキシブル・タンクにフロート8個、槽変形用ロープ4本を海水タンク(2500・4500・2500)中にて水位2000に浮かせた。類似の提案としては、スエーデンにて、箱(ポンツーン)を幾つか係留することにより、水不足に対処する提案が成されている[2]。海上に水溜を浮かせるのではなく、海中に設置する提案としては、海中にフレキシブルな袋を設置するマンボー計画[3]、上下に伸縮する蛇腹メカニズムの機構をもつタンクをもつ方法[4]が渇水期での水供給のために提案されていて、詳細な提案・実験もある。また石油など水より比重が小さい液体の貯蔵法についても、幾つかの提案・さらには実施も見受けられる[5]。
3. 揚水発電所の下部ダムとして
一般に我が国においては、もう揚水発電所の建設立地は殆ど無いといわれるが、それは上部ダム、下部ダムともに地上に持つとの発想によるものであり、上部ダムだけを地上に下部ダムを海上に設置する真水の貯水槽とすれば、揚水発電所立地場所はまだ存在すると思われる。単に揚水発電だけの目的で、しかも発電効率・発電

 

 

 

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