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平成7年兵庫県南部地震による岸壁被災メカニズムに関する研究

Studiy on the Mechanism of Quay Wall Damage during 1995 Hyogoken-Nanbu Earthquake
管野高弘* 田中祐人* 稲垣紘虫** 三真正明*** 宮田正史* 稲富隆昌*
T. Sugano*, S. Tanaka*, H. lnagaki, M. Mito***, M. Miyata*, T. Inatomi*
*運輸省港湾技術研究所 **(財)沿岸開発技術研究センター ***五洋建設技術本部技術研究所
*Port and Harbour Research Institute, Ministry of Transport
**Coastal Development Institute of Technology
***Penta-Ocean Construction, Institute of Technology
Key wards : earthquake, earthquake damage, liquefaction, quay walls, shaking table test
Many caisson type quay walls were damaged in Kobe Port during 1995 Hyogoken-Nanbu Earthquake.These caisson type quay walls moved towards seaside about Sm at maximum and 3m on average and settled around 1m. To investigate the mechanism of quay wall damage, we conducted geotechnical investigations and large scale underwater shaking table tests. The results suggested that the big shear shear deformation in the foundation soil underneath the caisson due to excess pore water pressure increased caused seaward displacement of the caisson walls and settlement. The performance of the caisson type quay wall during the earthquake which was applied as an equivalent magnitude of design code showed no damage.
1. はじめに
平成7年兵庫県南部地震による港湾構造物被害の特徴的なこととして、神戸港岸壁の構造形式の大半を占めるケーソン式岸壁の被害が甚大であり、被災形態としては、ケーソンの海側への移動・前傾・沈下、背後地盤の陥没であった1)ことが挙げられる。被災原因として、設計震度を上回る入力加速度によるもの、ケーソン背後埋立地盤の液状化の影響、ケーソン基礎部分の置換土層の影響等が考えられる。
本研究では、水中振動台を用いた大規模な現象再現実験及び、設計震度相当の加振を行い、地震時のケーソン式岸壁の挙動力を検討し、実験結果と現地被災調査結果との照合等から被災メカニズムに関する考察を行った。
2. 被災形態
Fig-1に神戸港の施設位置を示す。実験対象として、(A)に示す岸壁(コンテナバースPC-1)を選定した。選定の理由は、神戸市開発局の設置した地震観測システム(鉛直アレー)に近いこと、また、構造形式が神戸港のケーソン式岸壁の典型的な形式となっているためである。
ケーソン式岸壁(A)の標準・被災断面をFig-2に示す。構造形式は、海底の軟弱な粘土層を用いて置換し、さらに置換土上に捨石を用いた基礎マウンドを施工し、その上にケーソン函体を据え付けたものである。岸壁被災の特徴として、函体海側への変位が大きく(約2.8m)が岸壁法線の乱れが少ないこと、函体背後の地盤が1〜2m程度陥没しているが函体近くでは噴砂が見られないこと等が挙げられる、天端沈下量は1.1m程度であり、潜水調査から函体とマウンドが共に置換土層にめり込み沈下していることが確認されている。
3. 実験概要
3−1 入力地震動
(1)現象再現実験:岸壁の近隣に展開されている強震観測鉛直アレーは、地表、KP-12m,KP−28m,KP-78mの4個所に設置されているが、模型実験の入力地震動としては模型地盤の最下端に近いKP−28m(=GL-32m)の記録を採用した。また振動台の加振方向は、現地構造物の方向に合わせている。
(2)設計震度相当加振実験:現行の震度法による設計理論を考慮すると、設計震度を越えた入力地震動の場合に構造物が破壊することは自明である。1968年十勝沖地震の際に八戸港で観測された地震記録(以後、八戸波と称する)を用いた水平一次元加振を行い、設計震度相当の入力波による挙動を把握することとした。
3−2 模型策面
函体模型は、加速度計・土圧計・荷重計を搭載した計測用函体とその両側に設置したダミー函体の計3函から構成される。函体模型サイズは高さ80cm、接地断面50cm×50cmであり、これに中詰砂を入れ重量を合わせ使用するものである。模型縮尺は函体高さを基に1/17とした。Fig-3に示すように計測器は、地盤中に加速度計・間隙水圧計を、函体には変位計・加速度計を、函体背面には土圧計・間隙水圧計を設置し、模型地盤中および基礎マウンド等にターゲットを設置し、加振前後のター

 

 

 

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