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平行板型浮消波堤に関する実験的研究

An Experimental Study on the Floating Breakwater of Horizontal Plates
慎 燦益 : 長崎総合科学大学工学部船舶工学科
千頭孝義 : 長崎総合科学大学大学院工学研究科
森山祐志 : 長崎総合科学大学大学院工学研究科
若杉泰昭 : 株式会社大島造船所鉄構事業部
by Chain Ik Shin : Department of Naval Architecture, NAGASAKI INSTITUTE OF APPLIED SCIENCE
Takayoshi Chikami : Postgraduate School of Engineering, NAGASAKI INSTITUTE OF APPLIED SCIENCE
Yuushi Moriyama : Postgraduate School of Engineering, NAGASAKI INSTITUTE OF APPLIED SCIENCE
Yasuaki Wakasugi : OHSHIMA SHIPBUILDING CO. ,LTD.
Keywords
Floating Breakwater、 Calm sea area、 transmitted waves、 circulation of sea water、 Orbital motion
Abstract
This paper presents a new floating breakwater of horizontal plates. The horizontal plates composed the floating breakwater play the role that restrains the orbital motion of waves, but do not prevent the circulation of sea water.
The model experements on the transmitted waves were carried out for two and three-dimensional models of the floating breakwater of horizontal plates in regular waves.
The representative results of two-dimensional model test show that in range of i/B K 4. 5, the transmission coefficient is CT < 0.5 and in λ/B < 3.0, CT < 0.15. In the case of three-dimensional model test, in λ/B < 4.0,CT< 0.4.
This floating breakwater of horizontal plates is effective to reduce the transmitted waves, even though this is the simplest floating breakwater.
1. 緒言
海洋空間の利用や海洋開発プロジェクトにおいて、利用海域を静穏化させるためには、その海域に押し寄せる波のエネルギーを反射または吸収する防波堤があるいは消波堤が必要である。
一般に、重力式防波堤の場合、押し寄せる波を防ぐことが目的であるため、防波の役割としては大きいが、透水性が悪く海水の循環の妨げになることや水深の深い海域への設置あるいは施工ができないことが短所として指摘できる。
また、排水量型に代表されるような、海面に浮いている浮消波堤の場合、海水の循環及び水深の深い海域への設置に大きな問題は無いものの、吃水が深くなれば海面近くの海水の循環あるいは透水性の問題や、設置水域の波周波数との不適合による消波効果の低下などが問題として指摘できる。
しかしながら、近年、利用海域が沖合の水深の深い海域へ展開されていることから、浮消波堤が注目されており、広範囲の波周期に対しても消波性能の良い浮消波堤が提案されている1)。
本研究は、上述のような現状の中で、浮体ではあるが従来の排水量型のような形状の浮消波堤よりはるかに海面近くの海水の循環あるいは透水性に優れ、しかも、実海域の設置及び配置を考慮して、消波効果が高い浮消波堤の開発を目的として実施した。本研究の過程で考案、開発した「平行板型浮消波堤(Floating Breakwater of Horizontal Plates)」は、単に複数枚の平板から構成された非常に単純な浮体構造物であるため、海水の循環や透水性が問題になることなく、しかも、単純な浮体構造物であるが、実用に供することのできる優れた消波効果を持つ浮消波堤であることが水槽実験により確認できた。したがって、ここでは、これまでに得られた平行板型浮消波堤の模型を用いた水槽実験結果と考察について報告する。

 

 

 

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