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2. 運輸基盤施設の整備計画と開発援助

 

 運輪基盤に限らず、バルト三国に対する経済、技術援助はこれらの国々が1991年に独立を果たして以来、社会主義経済から自由主義経済体制への円滑な移行を支援するため、EU,ElB,IBRDなどのマルチラテラル援助に加え、EU諸国からのバイラテラル援助が積極的に行われてきた。これらの援助体制のうち、特にPHAREブログラムと呼ばれるマルチラテラル援助システムはバルト三国の政治、経済、行政制度、開発計画など新しい国造りに欠くことのできないソフト部門の形成、強化に多大な貢献をしている。
 運輸基盤の整備に関してもPHAREプログラムは港湾、空港、鉄道、道路などの維持開発ために数多くのマスタープランの立案やフィージビリティースタディーの実施を手掛けている。このように、PHAREプログラムによる資金は、主として各種の計画策定や、それに必要な調査研究を対象としており、計画で提案された開発プロジェクトの実施に必要な資金はEU諸国からのバイラテラル、或いはEIBなどによるマルチラテラル資金援助によって賄われるというパターンをとってきている。
 しかし、最終的にはEU加盟をめざすバルト三国にとって実施すべきプロジェクトは多く、EU諸国の資金援助に息切れが見られる。このため、計画だおれになっているプロジェクトが山積しているのが現状である。また、ここ数年の国原環境や、国内経済の急速な変化のなかで、独立当初に建てられた計画を見直すべき事態も見受けられる。

 

 

 

 

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