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2−2 鉄 道

 

 同国の鉄道の歴史は、1870年のタリンーサンクトペテルブルク(ロシア)間の供用開始に遡り、現在、そのネットワークは図3−2−1に示すとおりで、総延長は1,127kmで、そのうち、132kmが電化されている。ゲージはロシア、CIS諸国、フィンランドと同じ1,520mmと広軌である。
 旧ソ連からの独立後、1992年1月に“the State Enterprise Estonian Railway (EVR)”が設立され、組織改革、機器の近代化、信号や通関システムの国際標準化を推し進めている。また、路線敷設等のインフラ部分は、EVRが行うが、商業活動部門については、民間会社に門戸が開かれており、外国からの資本投資が期待されている。
 1993年の旅客数は1億6,700万人、貨物取扱量は2億4,200万トンであった。タリンを経由する貨物の品目は、オイルシェール(41.6%)、穀物(13.3%)、石炭(7.5%)と一次生産品の割合が多い。また、主要ルートは、タリンータルトゥーベツェリ間(貨車総数の60%)、タリンータパーナルヴァ間(貨車総数の30%)である。
 世銀のローンにより、ディーゼル車の近代化を進めてはきたが、資金不足の影響で、路線の維持管理が十分に行われなかったため、路線状況が極めて悪く、平均速度60kmと低速走行しかできない区間もあり、輸送力に問題がある。さらに、通信システムの近代化・コンピューター化、環境汚染、駅やターミナルの機械化、牽引車の改修等の課題が山積しているのが現状であり、鉄道分野における維持補修も含めた開発のプライオリティーは高いものと思われる。

 

 

 

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