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ヨット

●ヨットはどうして走るのでしょうか

ヨットが風をセール(帆)にうけて走るのは、あなたも知っていると思います。でも、ヨットが風の圧力だけで走るのは、追い風のときだけなのです。ところが、ヨットは向い風をうけても前に進むことができます。ちょっとふしぎですね。もちろん、この場合は風上へまっすぐ走ることはできません。風上に向ってななめに、ジグザグに走ることによって前に進むわけです。では、そのわけを図を見ながら勉強しましょう。
〈図1〉は飛行機のツバサです。飛行機が前進すると、そのツバサには図のEFのように、飛行機をひきあげる力(揚力)がうまれます。〈図2〉は飛行機のかわりにヨットの場合です。ツバサをセール(帆)におきかえて考えます。セールもツバサとおなじように、風にあうとEFのような力が生じます。その力をヨットの進む方向の力ETと、ヨットに直角な力ERとにわけて考えましょう。ETはヨットを走らせる力、ERはヨットを横に押し流す力になります。
ヨットのセンターボードは、この横流れを消すための装置です。これでERの力を小さくすると、ETの力の方が大きくなって前進します。しかし、横流れは完全に消えないのでヨットは、〈図3〉のようにめざしている線より風下のほうに走ることになります。この横流れはリーウェーといいますが、ヨットはリーウェーが少ないほど、よく風上に進むのです。

 

●ヨットの各部分の名前をおぼえよう。

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図1

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図2

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図3

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●ヨットの種類

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●ヨットの基本的な方向の変え方

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●ヨットの走らせ方

さあ、ヨットの走る原理がわかったら、あとで海にでて、実際のヨットで指導してもらいましょう。
ヨットの操縦は練習が第一です。ヨットの走る海は、風や波、潮の流れ、気象の変化など複雑です。ひごろからじゅうぶん身体をきたえておいて、正しい操縦方法や決断力を身につけて、真のヨットマンになりましょう。
帆走の基本は、まずセール(帆)をひくシート(ロープ)をいっぱいにくりだして、セール(帆)をバタバタと激しくシバーさせる状態をおぼえることです。次にシート(ロープ)を少しずつ手前にひいてゆきます。するとセール(帆)はしだいに静まり、やがてヨットは走り出します。図の点線までセール(帆)をひくと、セールのバタバタは止まり、少しだけシバーしている状態になります。このとき、ヨットの進む方向に対して、風の方向とセールの位置が完全にあったわけです。この状態をたもちながらテイラー(舵棒)をあやつり、ヨットをまっすぐ走らせることができれば、帆走の第一歩は卒業です。

 

 

 

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