日本財団 図書館


 

1・3・2 新しいシステムの計画
海事通信衛星の導入は、CCIRによるデジタル選択呼出システム(Digital Selective Calling:DSC)や、船に対する航行警報・気象警報その他の緊急情報の放送を受信するための自動直接印刷システムの開発と相俟って、基本的には船から陸上局への通信が新しいシステムの基礎となった。これらの技術の利用を考えて、新しいシステム即ちGMDSSの詳細な計画が1979年より開始された。
詳細な計画は、決定される時点で実際に利用できるであろう通信手段、運用方法、運用手順、そして陸上施設のうち最も適切なものを一体化して総合的なシステムを提供するように考えられた。その上、現在の装置の償却のためと、GMDSSの装置を搭載していない船にも安全サービスを維持するため、現状のシステムがGMDSS決定の時期まで並行的に使用されて行くように留意している。この時期を過ぎてからは、GMDSSだけが国際的な基盤の上で責任を持つこととなる。
この計画は、他の国際的機関と協力して行なわれてきたが、特にITUとは、その「1983年移動体業務に関する世界無線通信主管庁会議」でGMDSSの使用周波数割当を行う等密接な協力を保った。
GMDSSの計画は満足できる機能上と運用上の要件を定義づけることから始められ、このシステムは次の基本的条件のもとで計画された。
? 航行区域に対応して各船の適切な装置を定める。
? 現在の中波(MF)帯無線電話装置も一応合理的なものと考えられる。
? 衛星及び短波(HF)の利用は長距離の通信能力を与える。
? 遭難と安全の通信の無休聴守は自動的な方法を利用する。
? 海上安全情報は、気象や航行の警報を含めて、自動的な受信を利用する。
? 無線電話、デジタル選択呼出(DSC)、狭帯域直接印刷方式を利用するようにして、モールス電信は新しいシステムでは使用しない。

 

1・4 GMDSSの概要

このシステムの基本的な概念は図1・1に示されているが、捜索救助当局が最小の遅延時間で協同的捜索救助活動を行って援助できるように、陸上や遭難船の近傍に居る船に遭難の発生が素早く通報されると共に、遭難者の発見を迅速に行うことを目指している。
GMDSSにおいては船に搭載することが要求される装置は、原則的にその船の

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION