CのOFFの状態で、物標のエコーは雨からのエコーに埋もれて見えなくなる可能性があるが、(c)はFTCをONにして微分された状態で、雨のエコーは消え、物標のエコーの微分波形のプラスの部分が映像として表示される。
リミッタ回路の目的は、ある設定レベル以上の信号が入ると振幅制限して、映像の輝度を一定に保つためのものである。その動作を図3・40に示す。
3・6・7 STC回路
海上が非常に荒れているようなとき、CRTの中心付近が明る過ぎて、自船の近くにある物標が見えなくなってしまうことがしばしばある。これは電波が近くの波から反射してくるために起こる現象で、海面反射といわれている。これを防ぐためCRTの中心付近の感度を下げて海面反射を抑制する、STC(Sensitivity Time Control)回路、つまり海面反射抑制回路がある。
図3・41 STC回路
STCの動作は図3・41に示すような電圧カーブを作り、距離が遠くなるに従って段々小さくなる負のバイアス電圧を、中間周波増幅回路へ加えて増幅度を落とすようにしたものである。STCボリュームによってSTCの電圧カーブの負電圧の振幅や時間的な長さをコントロールする。
3・6・8高圧回路
CRTの陽極電圧は約10kV程度を必要とするため、専用の高圧回路を設けている。高圧回路は図3・42に示すように、制御回路、発振回路、整流回路からなり、制御回路は発振回路の電源電圧を変えて、出力電圧を8〜10kVまで加減する。発振回路は約20kHzで発振し、これを昇圧、整流して10kVの高圧を作る。
図3・44 高圧回路
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