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3.3 今後の着陸システムに関するディスカッション

3.3.1 概要

ILS,GNSS,MLSを比較し、今後の着陸システムについて自由な意見を交換するため、エアラインおよびメーカ等の委員から資料を出してもらいフリーディスカッションを行った。本委員会では、どのシステムにすべきかという結論を出すことはできないが、概略次のようにまとめられる。
●?LSは混信の問題があるがGNSSが実用になるまで利用が継続される。
●GNSSはエンルートも含めた経済的なシステムに統一できるが精密進入のための補強システム及び衛星の運用費用を考慮すると高価になる可能性もある。また、信号が微弱なため干渉に弱い、軍用優先による有事の際の不安等の欠点がある。低空を飛行するヘリコプタでは従来の援助システムが使えなかったので、GPSは参考的な航法計器であってもその効果が大きい。
●MLSは技術的な性能の問題は少ないが、経済性の点で普及が困難と予想される。なお、本項に関する以下の資料は出席委員の個人の考えであり、各会社等の統一的な意見とは言えない。

 

3.3.2 今後の精密進入誘導システムに関する考察

3.3.2.1 はじめに
今後の精密進入誘導システムはどのような形態が望ましいのか、また現時点での対応はどうあるべきかについて運航会社の立場からその一考察を以下に述べる。
3.3.2.2 結論
航法/進入着陸誘導に関する新しい形態についての現在の国際的な方向性を考慮すれば、以下の理由からGNSSの早期有効利用を目指し、積極的に準備を進めていくことが望ましいと考えられる。
(1)今後の進入着陸システムについてのICA0の考え方の基本はILS/MLS/GNSSのマルチスタンダードとなっているが、欧州の一部を除く大部分の地域において、ILSの継続運用を可能な限り実施し、GNSSに移行することが国際的な大勢と思われること。また欧州においてもEGNOSと称される広域補正GNSS進入着陸システムの実施が99年以降に計画されていること。
(2)GNSSによる精密進入のためのシステム開発、国際標準策定、問題点の克服が精力的に進められており、CAT?/皿運航の実用化にはまだ時間を要するとしても、少なくとも?CA0のILS保護期限の2010年までには実用化が可能であると思われること。
(3)広域補強型GNSSによるCATIまでの精密進入導入が、当初の最低気象条件は若干高めであるとしても、米国で98年(WAAS)、欧州で99年以降(EGNOS)に計画されていること。我が国でもMTSATの打ち上げ、MSAS導入によりCATI進入実施のための基本要件が整っていくと考えられること。

 

 

 

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