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とする品質判定モデルを作成した。本研究の特筆すべきは、大量生産で最も変動しやすい電極直径を推定可能な点にあり、判定モデルから得た結果は実測値とよく一致した。また品質判定モデルとファジー推論を用い、連続で散りなしのナゲット径を保証する最適電流制御モデルの構築を試み、実用化の可能性を見いだしている。Gangらは、超音波流のエコー特性評価とその知能パターン認識について報告している。3タイフの溶接流れを対象に、エコー特性の評価および認識を行った。統計的仮説試験に基づき、特性評価および最適特性部分集合選択法を調査し、特性空間の低次元化および計算量の減少が達成された。またB−P型ニューラルネットワークを用い、高速・高精度学習能の知能パターン分類法を作成し、モデル実験の結果、特性ベクトルとして最適特性集合を用いた場合に、最大認識率が97%に達したとしている。青木らは、バックグラウンドノイズを含むX線撮影像中の溶接欠陥検出に対するコンピュータ援用画像解析法を作製・適用している。種々の実験の結果、作製システムは、気孔、スラグ、介在物およびき裂などの溶接欠陥の検出・識別に対し有効であった。武知らは、工学情報照会システムにおけるシソーラス探索のための人工知能エンジンを提案している。具体的には、莫大な言語を用いる代わりに、枠組み知識で設計したキーワード構造を有する推論エンジンにより実行されるシソーラスである。入力キーワードにつながる言語は、推論エンジンにおける前進・後退アルゴリズムにより選択処理される。得られた言語の属する言語グループもまた、推論エンジンにより識別される。数種の入力試行による評価の結果、本推論エンジンの妥当性が示された。

 

セッション C−2

強度および破壊
大阪大学接合科学研究所 村川英一
本セッションでは、”Strength and Fracture”を主題に、溶接継手および溶接構造物の静的強度および破壊強度の評価に関するする7件の発表が行なわれた。
溶接による熱的・機械的負荷を受けた材料の強度を取り扱ったものとして、500MPaクラスの低合金鋼を対象に異なった拘束条件の下におけるsimulaed welding CGHAZの変態超塑性を明らかにし、さらに、変態超塑性によるひずみが低サイクル疲労強度を向上させるという効果を示した研究、核融合炉用材料であるJJIタイプ鍛造オーステナイトステンレス鋼の厚板溶接継手を対象に、ヘリューム温度4kにおける破壊強度特性をJIcをパラメータとして検討した研究が紹介された。
一方、生産ライン上でのリアルタイムの強度評価を目的とした研究として、多打点スポット溶接継手の塩断引張強度が、超音波測定結果から得られるナゲット径および単打点スポット溶接継手の強度から予測が可能である事を、実験および有限要素法による解析に基づき示した研究が紹介された。
また、材料の不均一性が継手近傍における力学的状態に及ぼす影響を取り扱った講演として、爆着などによって接合された異材接合部界面における詳細な応力・ひずみの挙動に対する材料の組合せ、界面の幾何学的形状、硬質介在物および界面上に存在する微視き裂の影響をFEM解析により検討した研究、また、爆着クラッド鋼の接合界面近傍に存在するき製を対象に、変形に及ぼす材料不均質、残留応力および界面近傍の硬化部の影響を実験とFEM解析により検討した研究、さらに、こうしたき裂が平行に存在する場合のき裂間の干渉について検討した研究が紹介された。

 

 

 

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