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、水ジェット・ピーニング法による表面改質とそれによる耐蝕性の改善や疲労強度の向上について(K. Hirano et al.)、原子力発電プラントにおける要素部材の補修溶接に関連する有限要素法による計算機シミュレーションについて基本概念及び予測実施例について(by L. Junek et al.)の講演が行われ、現在の原子力発電における溶接関連工学の課題と世界各国における取り組みについて広範な議論が行われ、大変に有意義なセッションであった。

 

セッションC−1

溶接変形および残留応力
大阪大学接合科学研究所 村川英一
本セッションでは、”Deformation and Residual Stress”を主題に、溶接変形・残留応力の推定およびそれらの制御に関するする講演が行なわれた。投稿論文数は招待講演2件を含め9件であったが、薄肉殻構造の溶接変形制御に関する招待講演をお願いしていた中国のQ. Guan氏がやむを得ない事情で来日できなくなり、実際に講演された論文は7件であった。Guan氏の投稿論文の内容は、溶接変形の制御技術の歴史を振り返り、電子ビームやレーザー等の高エネルギー密度熱源の有効性を認める一方、板厚が非常に薄い航空・宇宙構造物では、入熱量の制限のみでは座屈形式の溶接変形は避けられないので、溶接熱源以外の熱源あるいは負の熱源(冷却)と拘束を最適な条件で重ねた新しい手法の有効性を紹介するものである。また、最適な組合せを探索するための道具としてシミュレーションの有効性が述べられている。もう一人の招待講演者であるJ. Goldak教授(カナダ、Carleton大学)からは計算機シミュレーションを用いた溶接残留応力および変形の予測に関する最近の研究、特に、溶融温度から室温までの挙動を忠実に追跡するするために、材料モデルを温度領域に従って切り替える解析法についての講演があった。
これに引続き、溶接変形に関連し、薄いアルミニウム合金板の溶接変形を真空吸着による拘束と冷却の効果により抑制する方法に関する研究、吊り橋の主塔のように荷重が作用している状態で溶接施工が行なわれる場合の溶接による横収縮量と荷重の関係を理論的に検討した研究、溶接によって生じる残留応力と変形を固有ひずみを用いた弾性解析により予測するための基礎的研究について講演があった。
一方、残留応力に関しては、圧延や切断によって生じた初期残留応力が溶接残留応力および変形に及ぼす影響を検討した研究、固相接合界面における自己拡散による残留応力緩和現象に関する理論解析について講演があった、さらに、溶接中の過渡ひずみの計測については、レーザースペックルを用いたひずみの計測法と変態が溶接部近傍におけるひずみ履歴に及ぼす影響を検討した結果が示された。

 

特別セッション SS−4:国際協力と国際協調

NKKK 野村博一
本セッションは英国TWIのTim Jessop氏の司会のもとに進められたが、5編の招待講演とパネル討論からなり、招待講演は次の内容であった(表題省略)。
1)Tim Jessop: EN,ISO等の国際規格の必要性、ISO 9000sと最近の溶接に関するISO規格: ISO 3834 14731との関係、EWF(ヨーロッパ溶接連盟)設立の理由、目的と政策、EWFの溶接に従事する人の認証スキムの紹介、英国のCSWIPとの関係と調和、IIWスキムの紹介とEWFス

 

 

 

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