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ており、一つは被災鉄骨を用いた動的負荷による破壊再現実験とその補修の効果を検討したもので、被害状況の詳細な観察・解析とその対策を示すとともに、動的負荷効果は大きくないことなど注目される結果を示した。二つめの発表においても、建築鉄骨柱・梁接合部の破壊実験を通じて、破壊防止の観点からの溶接ディテールのあり方を検討したものであり、もう一つは、建築用極厚鋼材の溶接接合に関して軟質溶接材料の適用性に関する基礎的検討を行ったものである。6件の発表の残りの一つは、船舶構造の疲労破壊を取り扱ったもので、新しい疲労設計ガイダンスとその根拠・適用例などについて紹介したものである。
本セッションは、溶接構造の破壊安全性を主たる内容としたものとなったが、破壊に関する注目度から建築鉄骨などの地震における破壊、特に脆性破壊に関する力学的取り扱いと構造耐震性に関する話題が多く取り上げられたことが特徴であった。また、このような脆性破壊の統合的な取り扱いに関連して、靭性試験を基本とした破壊靭性要求のあり方などについての問題指摘もなされた。

 

セッション D−1

先進拡散接合
大阪大学大阪大学接合科学研究所 竹本正
第5回シンポジウムと比べて拡散接合、ろう付の論文数と発表全体に占める割合は増えた。セッションD−1とD−2(先進ろう付)は第1日目の第二会場において開催され、接合機構や反応速度論、接合界面組織などの基礎的検討、実用化を視野に入れた検討および実際の製品への適用など広範囲にわたる研究が公表され、計16論文について活発な討論が行なわれた。
D−1(Advanced Diffusion Bonding)では7論文が発表された(D−1(4)はキャンセル)。
実用化への適用検討例として、H型鋼をN−S−Cr−Bインサート材(融点1040°C)を使用して新しく開発した拡散ろう行法により検討した例が発表された。SHK 400(300×300×10×15,mm)のHパイルを高周波ろう付し、引張試験と曲げ試験により検討し、実用化への適正接合条件を確立した。
新素材の実用化へ向けての新しい研究例としては、超伝導材料の酸化銀混合インサート材料による拡散接合、および核融合炉への適用を考慮した炭素繊維複合材料の銀フリーろう材による接合が発表され表面処理の効果が確認された。
基礎研究としては拡散接合におけるアルゴンイオン照射条件の検討結果、ならびにAl−Mg合金拡散接合界面組織に及ぼすMg含有量と接合温度の関係および界面の透過電顕写真観察ならびにMg,Al,0との反応層形成の熱力学的考察が発表された。いずれも接合界面に存在する酸化皮膜の除去あるいはその構造変化が接合のキーポイントとなることを明瞭に示した。
セラミックの接合についてはSiCをV,Cr,Nb,Zr,Taなどと拡散接合して継手強度と組織を観察、およびAlNをインサート金属により拡散接合して組織観察した研究などであった。

 

セッション D−2

先進ろう付

 

 

 

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