
3. 国立青年の家・少年自然の家の具体的な改善方策
(1)青少年の自主性を育てる
?@国立青年の家・少年自然の家の基本的な性格の見直し
ア 団体宿泊訓練
国立青年の家・少年自然の家の目的については、文部省組織令において、「団体宿泊訓練を通じて健全な青少年の育成を図る」ための施設と規定されている。
青少年教育施設の在り方を考える上で、その基本をなしているのが、この「団体宿泊訓練」という概念である。この規定によって、これまでの施設の運営は、ともすれば規則に基づいた、指導者が一方的、形式的、画一的に行う訓練的なものになってしまい、また、利用者のイメージとしても、楽しさよりも厳しさ、堅苦しさが先行している面があったことは否定できない。しかし、「団体宿泊訓練」という言葉は、理念そのものではなく、あくまで手段・手法であり、また、時代によって、その目的、内容、態様は当然異なるべきものである。
イ 自主性を育てる運営に転換
青少年教育施設が設置されはじめた昭和30年代後半は、利用対象は勤労青年が中心とされていた。また、当時、高度経済成長を背景として、都市化等に伴う様々な影響が指摘され、青年の団体活動の促進、社会的連帯感の育成、心身の鍛練といったことが課題とされていた。このため、青少年教育施設での活動の内容・方法や施設の運営の基本は、文字通り、団体での訓練的なものが中心となり、以後、これが施設の基本的性格として引き継がれてきたと言うことができよう。
これに対して、現在、あるいはこれからの生涯学習社会においては、むしろ自主性や思考力、判断力の育成が求められている。こうした資質や能力は、外から教え込むものではなく、様々な体験などを通じて自ら学ぶものであり、学校外活動が重視されているのもこのような理由による。
したがって、国立青年の家・少年自然の家の基本的な性格については、こうした資質や能力を育成するためのものへと転換を図る必要がある。
?A多様なニーズヘの対応と柔軟な運営
ア 個人利用など多様有利用への対応
従来、施設の利用は、学校や青少年団体などによる利用が中心となっていたが、最近は、家族などを含め様々な形態での利用も多くなっている。これからは、青少年に豊宮な生活体験や活動体験の場と機会を提供するという観点から、施設を「青少年の出会いとコミュニケーションの場」と考え、「自然との出会い」「他者との出会い」「自分との出会い」などをキーワードに、少人数のグループや個人での利用についても受け入れていくことが適当である。
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