
これらの国立青年の家・少年自然の家は、公立青少年教育施設のモデルとして、公立の施設との密接な連携の下に、国立の施設における活動の成果を波及することにより、公立の施設の水準の向上に努めるとともに、自ら広域的な青少年の交流や、青少年教育指導者の研修を行うなど、青少年教育の中心的な役割を果たす拠点となることを期待して設置されたものである。
?A国立青年の家・少年自然の家の現状と問題点
国立青年の家・少年自然の家は、これまで、環境教育対応事業や科学離れ対応事業など現代的な課題に対応した先導的な事業や、広域的な交流を図るための事業のほか、ボランティアの養成研修、教職員を対象とした研修、青少年団体の指導者の研修など、様々な事業に取り組んできた。
しかしながら、国立青年の家・少年自然の家の現状には、なお次のような問題があると思われる。
ア 柔軟性の不足
青少年教育施設には堅苦しく時代遅れといったイメージがある。社会の変化に対応して施設を運営していくことは、国立の施設に限らず全ての施設に求められるものであるが、国立青年の家・少年自然の家の運営の現状については、社会の変化に対応した柔軟な運営を行っているとは言えない面がある、また、公立青少年教育施設の運営は、国立の施設に倣っていることが多いため、このことが総じて全国の施設の運営にも反映され、全体としてのマイナスイメージに結び付いている。
イ 先導的事業の不足
国立青年の家・少年自然の家が行っている事業の中には、公立青少年教育施設に先がけていち早く取り組んできたものもあるが、中にはマンネリ化したものや公立の施設でも行われているものもあり、時代の進展に応じた国立の施設としての先導性の発揮という点で必ずしも十分でない面がある。また、その成果の普及という点でも十分とは言い難い。
ウ 体系的な取り組みの不足
事業などの取り組みについては、基本的に、それぞれの施設において単独に企画、実施されている。このため、施設間で事業の実施状況にばらつきが見られたり、同じような事業について連携や調整ができていないなど、国立の施設全体として見ると、必ずしも効果的にその役割を果たしてきたとは言えない面がある。
エ リーダーシップの不足
国立の施設は、青少年教育施設全体のレベルアップのために、公立の施設をリードしていく必要があるが、公立施設の職員を対象とした研修事業の実施状況などを見ると、
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