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『学社融合のエース的担い手に』
財団法人世界青少年交流協会 副会長 鈴木弘喜
■はじめに
私は、いまは青年の家のファンである。いまはというと以前はそうでなかったみたいに思われるかもしれないが、事実その通りであった。最初に青年の家なるものに泊まったのが1966年である。それから数年間、日本各地の青年の家に行く機会があった。いずれも青少年の国際交流を通じてである。その時青年の家について持った印象は、何と堅苦しい所がということである。朝夕の集い、門限、毛布のたたみ方や清掃等に象徴される厳格な規則、職員の事務的な対応がそうした印象を持った主な原因である。当然外国の青少年にも不評であった。そして青年の家を国際交流で使わなくなっていった。ところがしばらく前から青年の家に大きな変化が生じた。先に述べた厳格な規則が大幅に改められた。門限がなくなったところもある。職員の対応も明るくフレキシブルになった。施設もきれいになったし、食事も多彩にかつ選択ができるようになった。良い環境、好感のもてる職員、安全かつ清潔な施設、安さ等々実に多くの良さを持つ教育施設になったと思う。外国からの利用者にも喜んで貰えるようになった。
国や地方自治体が青年の家を持つ国は、私の勉強不足のせいもあるが、旧社会主義圏の国は別としてあまり知らない。ましてこのような大規模な施設は少ない。欧米の場合、青少年のための宿泊研修施設は沢山あるが、そのほとんどが民間団体のものである。私は、青年の家が青少年の社会教育のための貴重なインフラストラクチャーとして、これから脚光を浴びる予感がする。また、そうあって欲しいとの強い願いを持っている。そのためのいくつかの期待を述べてみたい。
■学校利用の徹底
私は、全ての小・中学生、高校生にその在学中に一週間程度、少年自然の家と青年の家(以下合わせて青年の家という)に宿泊体験をさせたい。テントも利用すれば、収容員数の問題もクリアできるのではなかろうか。女性の先生が多い今日、その先生の子供のための保育、託児室も用意する。先生の研修も常時行う。このために職員の負担が増えるが、教員志望者全員にこうした施設での一年間の実習を義務づけて、職員の補助をするようにすれば、それも解決されよう。要は、文部省がカリキュラムを再編成して、小・中、高校の課程の中に、こうした施設での生活体験を義務化すれば良いのである。青少年を個室から引っ張りだし、コンピューターゲーム以外にも面白いことが沢山あることを体験させ、また塾漬けから開放することは緊急の教育課題である。
■ボランティア活動の受け皿に
最近、ボランティア活動志望の若者が増えてきたと言われる。大変喜ばしい傾向である。こうしたボランティアは、いろいろな福祉施設やNGO等で活躍しているが、青年の家も是非そ

 

 

 

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