
青少年教育施設における学社融合のすすめ方
筑波大学教授 山本恒夫
青少年教育施設の今後の方向を探る中で、国立青年の家・少年自然の家の在り方に関する調査研究協力者会議『国立青年の家・少年白然の家の改善について(報告)』(平成7年)が学社融合を打ち出したことは関係者の間ではよく知られているので、ここで改めて述べるまでもないであろう。それ以後、学社融合は急速に各地に広まった。今後は、それをどのようにすすめるかが問題となろう。ここでは、その点を検討してみることにしよう。
■学社融合の考え方学社融合とは何だろうか。まず学社融合の考え方を調べてみることにしよう。学社融合には広狭両義がある。広義の学社融合は、学校教育と社会における教育・訓練の融合のことである。社会における教育・訓練には、社会教育や企業の教育・訓練、職業能力開発事業などさまざまなものがある。狭義の学社融合はそのうちの社会教育と学校教育の融合で、学社連携・融合という場合の学社融合は狭義の場合である。したがって、ここでとりあげる学社融合は、狭義の場合ということになるであろう。
ただし、その場合でも生涯学習の観点を取り入れているので、社会教育を狭く限定せず、広く地域社会の中でのスポーツ・文化活動等も含めた生涯学習支援との融合ということになる。中央教育審議会答申「生涯学習の基盤整備について」(平成2)では、生涯学習は学校や社会の中で意図的、組織的な学習活動として行われるだけでなく、スポーツ活動、文化活動、趣味、レクリエーション活動、ボランティア活動などの中でも行われるとしているのである。学校融合のパターンとしては、
A…学校教育と社会教育の重なるところに新しい教育活動を作り、それを学校教育が学校教育の一部に取り込み、社会教育もそれを社会教育の一部に取り込む場合。
B…学校教育と社会教育の既存の教育活動の一部を取り出して、それらを組み合わせた教育活動を作りだし、それを学校教育でもあり、社会教育でもあるとする場合。
C…現在の学校教育あるいは社会教育として行われている活動を、そのまま両者共有の活動としてしまう場合。
の3つのパターンがある。
最近は学社連携・融合といわれたり、融合は連携のもっとも進んだ形態といわれたりする。それでは、学社連携と学社融合はどこがちがうのだろうか。
従来からいわれてきた連携は、学校教育と社会教育がそれぞれの立場で協力しあうことであり、お互いが共有するところがあるわけではなかった。たとえば学校の開放講座は学校が社会教育に協力して開いているのであり、学校教育の一部ではない。近頃は高校のみならず、小・中学校でも開放講座を開いたりしているが、それに児童・生徒が参加しても、学校の授業の一部として認めてもらえないのである。
それに対し、融合は学校教育でもあり社会教
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