
第2編 人命救助
I救急措置の原則
救急措置とは、災害現場、事故現場で損病者に適切な手当てを施すために必要な知識・技術であり、この処置が適切に行われれば、傷病者の状態の悪化を防ぎ、生命やその後の経過に良い影響を与えることとなる。
1 救急処置の基本
(1)安全の確保
倒れている者を発見した際は、その場から傷病者を動かさずに手当てすることが原則である。しかしながら、そこが遭難船内等危険な場所であれば、直ちに安全な場所へ移動(搬送)しなければならない。
(2)止血
大出血があったら、直ちに止血する。
大出血はそのままにしておくと数分の内に失血死することとなる。また、それほどの出血でなくとも、出血性のショックに陥って手後れとなることがある。
成人の全血液量は、体重の1/13〜1/14(体重65?の人で約5,000?)であり、全血液量の王/3(約1,500cc)を失えば生命が危険となり、1/2(約2,500?)を失えば死亡する。
(3)口内清掃、異物除去
口の中に何か物が詰まっている場合は、これを取り出す。また、口内の血液や唾液はきれいに拭き取る。
(4)気道の開放
傷病者が意識を失ったままの状態であると、舌根沈下により喉の奥が狭くなって呼吸困難をおこし、窒息死してしまう危険がある。このため、意識を失っている場合は、直ちに気道を開放しなければならない。
(5)人工呼吸
呼吸が止まってしまうと、生命は重大な危険にさらされるので直ちに人工呼吸を行わなければならない。
アメリカのドリンカー博士は、呼吸停止後人工呼吸を始めるまでの時間と生命を救える確率を図1−1のように示している。この図から分かるように、人工呼吸の開始が早ければ早いほど、生命を救える確率が高くなる。
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