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プレスでどうすると板がくっつくのか、興味深いところである。後ろの円柱状の部品は関節の軸で、表面の溝や内部にあけられた穴が油圧配管である。これらの部品は見学者への解説用で、製品に組み込む部品ではないとのことであった。完成した製品の試験は社内で行われることが多いようだが、特殊製品は外部の施設において作動試験を行うようである。たとえば、高圧力下で使用する「しんかい6500」に搭載したマニピュレータの作動試験には、大型の圧力タンクが必要だったので、米国海軍の高圧水槽で行ったようである。
工場内を案内してもらう途中に、腕が折れたマニピュレータがおいてあった。鋳造部品で作られた製品で、人間に例えれば上腕にあたる部分だが、なるほど関節部で破断していた。修理のために戻ってきたそうだが、どういう使い方をすると、こんなトラブルを発生するのかわからず、原因を調査して修理すると話してくれた。製品の製造やユーザの対応など忙しいだろうに、整理整頓が行き届いた清潔な環境で作業が行われていたことが印象的であった。

 

3.4 スクリップス海洋研究所

スクリップス海洋研究所はサンディエゴの北、ラホエアにある。サンディエゴまで飛行機で移動し、タクシーでラホエアに移動した。スクリップス海洋研究所には10月3日の午前中に訪問した。写真17はスクリップス海洋研究所の入口である。
3.4.1 歴史
バーガー所長から概要について説明を受けた。スクリップス研究所は1903年にカリフォルニア大学のリッター教授が始めた海洋生物の生態調査に、スクリップス兄妹をはじめとする地元の有志が賛同して、サン・ディエゴ海洋生物協会を創設したことから、その歴史が始まる。その後、この協会の研究施設が1912年にカリフォルニア大学に移管されスクリップス生物研究所と称された。
さらに1925年に、スクリップス海洋研究所と改称され、海洋に関する研究を重点に研究活動を行うようになった。現在約1,000人の教職員が勤務しており、海洋地質学から海洋生態学にいたるまで、幅広い研究活動を行っている。また近年、海洋生物研究を兼ねた水族館をオープンさせ一般に公開している。
研究資金はアメリカ海軍、産業界、その他の財団から、委託研究、助成研究の形

 

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写真17 スクリップス海洋研究所

 

 

 

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