日本財団 図書館


 

1.5 調査結果

1)OCEANS’96
OCEANSはMTS(Marine Technology Society)とIEEE(Institute of Electrical and Electoronic Engineers)のOES(Ocean Electronic Society)が共催する国際会議で、本年のテーマは21世紀に期待される沿岸海域利用(The Coastal Ocean−Prospects For The 21st Century)で、テクニカルセッション、ポスターセッションなどの研究発表や海洋調査機器などの展示が行われた。
テクニカルセッションでは、期間中に延べ60の幅広いテーマについて15ヶ国から約300件の発表があった。中でも制御や音響分野では、シミュレーションによるシステムの検証やフィールドデータに基づく実験結果が数多く発表された。
展示会場では、約130の海洋調査機器システム、トランスデューサなどを製造するメーカー、大学および政府関係の研究施設などが、製品や研究施設の紹介を行っていた。冷戦の終結により予算の獲得が難しくなった軍事関連の研究施設の展示が多く見られた。
昨年サンディエゴで行われたOCEANS’95に比較すると、テクニカルセッションでの発表件数および展示会場での出展数は共に減少傾向にあった。来年はカナダのハリファックスで10月6日から9日に開催される予定である。
2)カーデロック研究所(Carderock Division of Naval Surface WarefareCenter)
米国海軍の研究施設で、カーデロック研究所は、NSWC(Naval Surface WarfareCenter)に属する研究所でアナポリスとベセスダに位置する2つの施設からなる。2つの施設は約4,200人のスタッフで組織されているが、政府・海軍に所属するのは、わずか30名である。研究者は約2,000人で、この他はテクニシャンなどである。訪問したのはベセスダにあるテイラー水槽で知られる施設で、15人の政府・軍関係者と、研究者をはじめ約2,000人のスタッフで構成される。以前はDTRC(David Taylor Research Center)と呼ばれていたが、1992年1月にフィラデルフィアにあるNAVSSES(Naval ShipSystems Engineering Station)と統合して現在の名称になった。冷戦終結に伴い、軍事関連予算が先細りになりつつあり、産業界などと共同研究を進め今までに蓄積してきた技術の継承や設備の維持管理を行いたいようであった。研究テーマを産業界などに求めているようだ。
3)シムラッド社(SIMRAD Mesotech Systems Ltd.)
水中音響機器を開発製造する企業でポートコクイトラムに50名、東毎岸の施設に5名の計55名の従業員数を持つ。音響機器の開発製造に必要な一連の設備を有し、耐圧容器などの機械部品、トランスデューサおよび電子機器などのハードウェアの開発および組立を行う。このほかシステムに必要になる演算プログラムなどソフトウェアの開発も行われて、システムとして完成させるようである。現在は、浅海域でのソーナの開発が中心であるようだ。
4)シーリング社(SCHILLING DEVELOPMENT,INC.)
同社は1985年に設立され、同社独自のエレクトロニクスおよびメカニクスの設計・製造技術により各種のマニピュレータを製品化している。製品の使用目的は海中油田など

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION