
やけど
平成八年二月一日放送
神戸掖済会病院皮膚科部長
阪田昭
「やけど」は医学的に熱傷と言って、熱による皮膚の障害で、部位によって、例えば目・耳・足・外陰など機能が障害されることもあり、どこが侵されているかも重要です。
原因は熱の他に酸・アルカリなどの化学物質、電流でも熱傷が起こり、それぞれの処置には専門的な知識が必要となる場合もあります。
しかし、一般に熱傷の約九割は局所の熱による、いわゆる「やけど」です。
熱傷で熱が皮層に及ぼす深さは熱の温度と作用時間で決まります。
その強さを一度から三度まで分けてみると、まず、一度は皮膚が赤くなり、ヒリヒリ痛む状態をさします。
二度は水泡を作る状態で、水泡の底の皮層の色がみずみずしいピンク色をしている状態を浅い二度と言い、水泡の底の皮膚が白っぽくなるのが深い三度の熱傷です。
三度は皮膚のすべての層または皮下組織に及ぶもので、皮膚は乾いて白っぽくなり、局所の知覚はなくなります。
熱傷患者の重傷度は、熱傷の強さと熱傷の面積で決まってきます。
洋上で実際に治療の対象となるのは、一度から二度の熱傷で体の表面種の一〇%を超えないものです。
それ以上の範囲の熱傷になると輸血などの全身管理が必要となってきます。
体の表面積を測る方法として「九の法則」があって、およそですが腕全体の表面積を体全体の表面積の九%と考えています。
密閉された均所で顔面を火で熱傷している場合は、熱気を吸っていることもあり、気道熱傷に注意することが必要です。
やがて気管が腫れてきて、呼吸困難になることがあります。
その場合には、早く呼吸管理のできる医療機関に送る
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