
ストレッチをしましょう
平成八年一月十一日放送
海上労働科学研究所研究員
加藤和彦
ストレッチングとは簡単にいって柔軟体操の一種です。
一般に柔軟体操というと「いち・にー・さん」と号令をかけ、反動をつけて行なったり、相手が力一杯押したり引いたりして行なっていることが多いと思います。
皆さんも、こういった柔軟体操を学校の体育の時間などに行なっていたのではないでしょうか。
しかし、こういった柔軟体操の方法では、あまり柔軟性が向上せず、反対に、無理に体を曲げてしまうので、筋肉や関節などを傷つけてしまうことがあります。
そこで、こういったけがを起こさないように反動をつけたり、痛みをこらえて行うのではなく、「筋肉をゆっくり伸ばしていき、その伸ばした状態を維持する」という、筋肉を伸ばすことを目的とした新しいタイプの柔軟体操が考えられました。
それがストレッチングというものです。
ストレッチとは、すなわち、伸ばすとか引っ張るという意味であり、ストレッチングとは体の各部分の筋肉や腕を引き伸ばすことをいいます。
よく私たちが「あくび」をするとき、両方の腕をあげて「伸び」をしますが、これもストレッチングの一種です。
いろいろな姿勢や体勢でストレッチングを行えば、背筋だけでなく、全身の筋肉や腱をくまなく引き伸ばすことが可能になります。
「あくび」や「伸び」をすると、気分が一新されて爽快な感じになりますが、さらに全身の筋肉や腱を伸ばすと気分だけではなく、生理的にもいろいろな効果が生じることが知られています。
研究によると、ストレッチングは単なる柔軟性を向上させるためだけのものではなく、筋肉や関節のさまざまな障害を予防し、同時に筋肉や精神に対するストレスを取り除く効果があるといわれています。
以上のことをストレッチングの特徴と効果として簡単に述べますと、
前ページ 目次へ 次ページ
|

|