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混乗船の衛生管理

平成七年八月十七日放送
海上労働科学研究所主任研究員
村山義夫
今や国内においても外国人労働者を多く見かけます。
特に、建造物の解体や基礎工事などさまざまな建設労働では欠かせない仲間になっています。
外航の貨物船や遠洋の漁船にも、世界中の船に船籍国とは違う複数の国の船員が乗り組んでいます。
もちろん皆さんの船もそうでしょう。
私どもは数年来、このような状況に対応して、船内の安全衛生管理や労務管理をどう改善すべきか調査してきました。
調査の時の船員は、多くがフィリピン人で、一部インドネシアの見習船員でした。
彼らの作業と生活を見て、話を聞いてきました。
そして、それらを効果的にするいくつかのポイントがわかりましたので、ここで紹介します。
一つは外国人の健康管理、二つは生活、特に衛生上の習慣、三つは調理作業についてです。
そして最も大事なことは、これらのあり方の原則は日本人とまったく同じなのですが、それをいかに進めていくかということです。
健康管理ではまず健康状態のチェックが問題になります。
船員資格を得る上で必要な船員健康証明のための健康診断をしていますが、現地の医療状況は必ずしも日本のようではなく、健康診断はこの診断が学校入学以来はじめてというように、予防医学的検診をしていませんから、病気をみつけたり、保険や病気についての知識を持つことが日本ほど普及していません。
ですから、体調が悪くなると必要以上に不安がり、そのために大量に薬を持っていたり、特に抗生物質に頼ったりすることが多くなるようです。
そのために、日本人の医学の常識や医療先進国での対処法が信頼されることになり、病気に対する日本人の親切な対応もあってか、日本籍船の健康管理は、彼らに高く評価されていますが、逆に、これらが悪いと「人間と

 

 

 

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